まだ2試合を終わった段階だけに、あれこれと言うのはまだ早いとは思われるものの、短期決戦では調子を落としたまま大会を終えるケースがあることもまた事実である。アメリカでの決勝ラウンドに向けて状態がこのまま上がらないようであれば、打順を変える、もしくは他の選手とスタメンを入れ替えるということも検討する必要がありそうだ。

 野手陣でもう1人心配なのが守備の要である源田壮亮(西武)の負傷交代だ。この日も初回にいきなりキム・ハソン(パドレス)の鋭い打球を見事なフットワークとグラブさばきで処理するプレーを見せていたが、3回の走塁で手の指を痛めて4回の守備からはベンチに下がっている。この日は途中出場した中野拓夢(阪神)が攻守にわたって見事なプレーを見せたが、もしこのまま源田がチームを離脱するようなことになれば大きなマイナスであることは間違いないだけに軽傷であることを祈りたい。

 一方の投手陣で気がかりなのが不用意なホームランを浴びるシーンが多いことだ。この日も3回にはダルビッシュ有(パドレス)がツーストライクと追い込んでからの甘いスライダーをレフトスタンドに運ばれるなど、ここまでの2試合で許した5失点のうち4失点が3本のホームランによるものとなっている。投手陣全体の出来としては決して悪くはないものの、今後1点を争う展開となった時にはこういったホームランが命取りとなるだけに、改めて注意する必要がありそうだ。

 3回には守備のミスが失点につながるなど他にもまだ気になる点はあるが、1次ラウンドの大きな山場を乗り越えたことは確かである。東京での残り2試合は比較的力の差がある相手となるだけに、結果はもちろんだがこれまでに出た課題をクリアし、アメリカでの決勝ラウンドに良い形で臨めることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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