東京都杉並区のマンションで昨年末、現金、金塊、暗号資産(仮想通貨)など総額4億円相当以上が盗まれる空き巣被害が発生していたことが、関係者への取材でわかった。警視庁が高額窃盗事件とみて捜査している。被害に遭ったのは、インターネット動画配信会社など複数の会社を経営する男性A氏(31)。暗号資産ビジネスに絡みトラブルになっており、事件の3日前に警察に相談していた。
関係者によると、現場はマンション1階の一室。昨年12月29日午後4時半すぎ、この部屋に住むA氏の母親(59)が外出先から帰宅し、室内が荒らされているのに気づいて110番通報したという。
A氏によると、盗まれたのはA氏が実家に保管していた資産。金とプラチナのインゴット(塊)、銀貨といった貴金属類が2億円相当、現金が日本円で2千万円、米ドル、タイバーツなどの外貨500万円分、ビットコインなど複数の銘柄の暗号資産約2億円相当(時価)が入った「レジャーナノ」と呼ばれる暗号資産保管用のUSB端末、ロレックスやウブロといった高級腕時計8個(計1600万円相当)などで、金額にして計4億円超になる。
A氏の母親は29日午前9時ごろから仕事で外出しており、夕方に帰宅するまでの間に侵入されたとみられる。
警視庁の現場検証の結果、金庫がこじ開けられた形跡があり、中は空になっていた。何者かがベランダから侵入した跡があり、室内には靴のまま上がり込んだとみられる足跡も残っていたという。
警視庁は、ベランダ側の路上や自転車置き場付近に設置してある複数の防犯カメラの映像の解析を進めている。
A氏は、2021年12月から、中東のアラブ首長国連邦・ドバイに滞在していたが、昨年9月に帰国し、実家などで暮らしていたという。
AERAdot.の取材に応じたA氏との一問一答は以下の通り。
――被害をいつどのように把握しましたか。
「母親から12月29日午後4時42分にメッセージアプリで『大変!すぐ電話して』『緊急事態』『早く!』などと連続でメッセージが届き、すぐに折り返すと『ドロボーに入られた! 家がぐちゃぐちゃになってる。まだ誰かいるかも』と言われました。すぐに警察に通報させて、私は遠方から急いで実家に向かいました」