松川るい参院議員
松川るい参院議員

――それは中国もロシアと同じような行動をとるかもしれないということですか。

松川:そうですね。台湾は、中国共産党にとって正当性維持のために最も重要な回復すべき失地であり、台湾統一は、統一すべきか否かという話ではなく、「いつ」、「どのように」統一するかという問題なのです。しかも、ロシアによるウクライナ侵攻で世界は変わったと思います。軍事力の行使のハードルがすごく下がったんですよ。国連安全保障理事会の常任理事国が堂々と隣の国へ侵略して、国境線を変えようとして、核の恫喝もするわけでしょう。核兵器国相手には、米国も核戦争を恐れて抑制的にしか行動しないという面も見えたわけです。

 例えばあのドイツでさえ、防衛費をGDP比2%に即座に増強すると宣言しましたが、今、世界各国、特に欧州諸国は、それぞれ自分自身の防衛力を強化しないとまずいと感じ、防衛力強化に取り組んでいます。日本だって、そうです。日本の隣は、ロシア、北朝鮮、中国なのですから。「自分の国は自分で守る」というのは、新しい「危機の時代」における世界的なトレンドです。

■自分の国は死んでも守ることを示せ

――そもそも、なぜ中国に対抗する必要があるんでしょうか。

松川:対抗しているわけではありません。中国は日本の隣国です。安定的な関係が必要ですし、仲良くできるならそれに越したことはありません。日本はどの国とも平和にやっていきたいと思っています。残念ながら中国の方が尖閣諸島は自分のものだと主張し、実際に、日本の領土である尖閣諸島に対する軍事的圧力を高めているのです。台湾進攻の準備ともいうべき軍事力増強を急速に進めているのも中国の方です。そして、さっきお話したとおり、台湾有事は日本有事となります。なので、それは抑止しないといけません。

――もし尖閣を取られたとして、その後も日本を攻めようとしているんですか。

松川:それは分からないですね。状況によりますが、沖縄は危ないかもしれません。中国は日本の沖縄に対する領有権を否定するような言説を人民日報に載せたりしています。政府自身がそう発言しているわけではないにしても。いずれにせよ、領土や領海、領空というのは、相手に隙を見せたら、その気(奪う気)がある国は侵略してくるものです。特にユーラシア大陸では強い国が隙あらば領土拡張してきたのが歴史です。日本は海に囲まれているため、その感覚をはあまり持たずにやってくることができたわけですが、領土というのは一部を譲る人は、その先も譲る可能性があるわけです。隙を見せたら終わりなんですよ。

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「独裁者は、常人の考えの上を行く」