例えば、静岡県浜松市は今年6月までに旧統一教会から計3回にわたり寄付金を受け取っている。総額は48万4377円。市の報道発表には、寄付の趣旨についてこう書かれている。
<浜松家庭教会で開催された、2022チャリティーファミリーフェスタin浜松におけるチャリティー募金を、社会福祉のために役立てていただきたいと寄付されるもの>
先の小田原市のケースとよく似ている。
このような寄付について、公式ホームページで公表することは行政が教団にお墨付きを与える行為にならないか。浜松市に聞いた。
「そこは難しい判断になると思います。宗教法人からの善意の寄付金を制限していることはありませんし、もし仮に制限するにしても、この宗教法人はいいけれども、こちらはだめですよと、寄付を受け付けない理由が見つからない。寄付の財源がチャリティー募金であり、それを社会福祉に使ってほしい、と言われれば、それをお断りすることは難しい」(福祉総務課・渡辺貴史課長)
30年ほど前、人々の不安をあおって壺(つぼ)などを高額で売りつける旧統一教会の「霊感商法」が社会問題となった。その後、教団は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称を変え、活動を続けてきた。
宗教法人名が変わったため、旧統一教会と気づかずに寄付を受け取った自治体や社協もあったのではないか――そう尋ねると、「寄付を受け付けた際、変わった名前の宗教だな、と思いましたが、今回の報道までそれが旧統一教会だとは気づきませんでした」という社協もあった。
しかし、大半の自治体や社協は家庭連合が旧統一教会であると認識したうえで、寄付金を受領していた。
淡々と受け付ける担当者
横浜市社会福祉協議会の舟田泰久さんも「最近の報道がなければ、旧統一教会からの寄付金を受け取らない、という選択肢は持ちづらいというのが実情だった」と、漏らす。
同社協は地元の旧統一教会がチャリティーイベントを開催するたびに寄付を受けてきた。
「1回の寄付金の額としてはそれほど大きくなくて、2万~3万円くらいです。それをほぼ毎年、寄付としていただいてきました」(舟田さん)