日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日米のコロナ対策の違い」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
【データが示す】ワクチン種類別・追加接種後の予防効果の推移はこちら
* * *
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のない大型連休を利用して、アメリカに行ってきました。覚悟して向かった空港での入国審査が意外とあっさりして拍子抜けしたことから始まった旅は、日米のコロナ対策の違いやコロナに対する考え方の違いを痛感する日々でした。そこで今回は「私のコロナ禍の海外旅行体験記~出国から到着まで」を共有させていただきたいと思います。
渡米までに私が最も不安だったことは「無事に出国できるか」ということでした。パスポートさえあれば飛行機に乗り込めたこれまでの海外渡航とは違い、今回の渡航では入国する国が提示する条件を調べて必要な資料を揃え、直前までコロナにならないように気をつけながら生活し、直前のコロナ検査で陰性であることを証明する必要がありました。
オミクロン株感染拡大以降のアメリカへの入国条件は、米国行きの便に搭乗する2歳以上のすべての米国への渡航者は、フライトが出発する「1日以内」に受けた新型コロナウイルス検査の陰性証明書と新型コロナウイルスワクチン接種証明書の提示です。
渡米における有効な新型コロナウイルス検査として、核酸増幅検査と抗原検査が挙げられています。勤務先のクリニックでは渡航用のコロナ検査をずっと行っていますが、みなさんが核酸増幅検査に含まれるPCR検査を希望されます。
私自身もPCR検査を希望していましたが、フライト前日が勤務日であったことやフライト日が祝日だったことから、昼休みに抗原検査を行い、陰性を確認することにしました。しかしながら、抗原検査を希望された方にお会いしたことがなかった私は、抗原検査で本当に大丈夫なのか不安で仕方なく、航空会社やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が記載しているフライト条件を何度も確認し、インターネット上で「抗原検査でアメリカに出国できた」という記事を探してしまう始末でした。