鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)

 風俗店で働く女性に恋をし、総額200万円を振り込んできたがLINEをブロックされ、最近ようやく騙されたこと気づいたという43歳男性。これからどんな気持ちで生きていけばいいのかと苦しむ相談者に、鴻上尚史が伝えた、その経験が「次の人生へとつながる」3つの考え方とは。

【相談139】風俗店で働く女性に総額200万円を振り込んだが、LINEをブロックされてしまい、苦しいです(43歳 男性 ほんだ33)

 初めまして。いつも拝見しておりますが、自分には無い視点での回答に、そんな見方もあったんだと感心しています。

 今回、相談することにとても躊躇しました。センシティブな内容であり、こちらでは取り上げられない相談内容だと思ったためです。

 しかし弁護士などに相談したところ、同様の相談はたくさんあるということでした。

 おそらく相談したくてもこういったところには相談できない人が多くいると思いました。恥ずかしい話ですが、そうした方たちのためにも今回送らせていただきました。

 ちょうど2年前の1月になりますが、とある女性と偶然出会いました。その女性は吉原の風俗店で働く女性です。

 私はそういった所に稀にしか行かないのですが、たまたま訪れ、偶然にその方と会いました。その方にLINEを交換しようと言われたのですが、私は再び会うつもりはなかったので、「営業されても私は来ない」と言いました。すると「別に構わない、時々何を食べたとか送ったりするだけでいいよ」と言われ、それならとLINEを交換しました。

 それからは本当に日常会話を時々やり取りするだけの関係でしたが、徐々に好意を抱いている自分にも気が付き悩むようになりました。

 そして4月になり、東京は新型コロナによる緊急事態宣言になりました。その女性はアパレルの仕事も行っており、両方のお店が休業となってお金に困っているという話になりました。家族の借金のために吉原で働いており返済が難しいということでした。

著者プロフィールを見る
鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

鴻上尚史の記事一覧はこちら
次のページ
好意を持っていたこともあり、お金を振り込んだが…