河村たかし・名古屋市長
河村たかし・名古屋市長

「コロナの第5波で感染者数が増えたとき、名古屋市でもHER-SYSへの入力が数日ほど遅れるということがあった。名古屋市は保健所、各区に保健センターがある。事務方や保健師などと話し合ってHER-SYSの入力が負担になり、遅れるとファーストタッチに影響を及ぼし、命にかかわる事態にもなるので、予算をつけて、センターを設置した」

 河村市長によると、医師から届く発生届のファックスを第5波までは、保健所で集約して入力していたため、遅れが生じていたという。

 そこで保健センターが発生届のファックスを受信し、データ化。センターのスタッフと共有して、入力するというシステムに替えた。市職員10人、外部スタッフ20~30人の体制だという。

 名古屋市の新型コロナウイルス感染症対策室はこう話す。

「PCR検査を受けて、結果が出て新型コロナウイルスに感染が確認となるまで、発症から2~3日かかります。療養期間が10日間ですから、HER-SYSへの入力遅れとなると初期対応が遅れます。またHER-SYSに感染者が直接、アクセスできるマイHER-SYSという機能もありますが、データ入力が遅れるとそれもアクセスできません。また、新規陽性者数をきちんと把握して、前週と比較することはまん延防止等重点措置の対策にとても大事です」

 名古屋市の新規感染者数はHER-SYSへの入力遅れは、ほとんどないという。

「数字から名古屋市においては緩やかにピークアウトに向かっていると類推できます」(前出・新型コロナウイルス感染症対策室)

 大阪府は新型コロナウイルス感染による死者数は2月10日現在で3302人と東京都の3282人をも上回り、全国最多となっている。大阪府幹部は悲痛な表情で話した。

「吉村知事は昨年9月末、インテックス大阪に84億円をかけて大規模療養センターを作り、第6波が押し寄せた1月末から開設していますが、準備が進まず、患者受け入れは数人にとどまり、今は看護師が電話で健康相談をやっているだけです。15日に中等症用(200床)を開設すると準備をしていますが、間に合うか微妙です。東京都よりも先に、大阪府だけが緊急事態宣言という最悪のシナリオが現実味を帯びて語られている」

(今西憲之 AERAdot.取材班)