元JBC(日本ボクシングコミッション)事務局長で現顧問の安河内剛氏
元JBC(日本ボクシングコミッション)事務局長で現顧問の安河内剛氏

 拳だけで相手を倒すために飛び抜けた技術力が必要となる。純粋な競技スポーツとして世間から認知されており社会的地位も確立されている。そして夢のようなファイトマネーを手にする可能性がある。ボクシングをすることで「世界一になる」という明確な目的意識を持てる。それこそがプロボクサーとしてのプライド、矜持だ。

~同じ階級内で世界で1番強いボクサーを決める

「ボクシングはヒエラルキー(階層)が明確です。どんな選手も基本的には4回戦からスタートして1つずつ上がってチャンピオンを目指す。世界一という目的に向け戦略を立てて超えていく。もちろん現在は団体が多くタイトル乱立の問題がありますが世界一強いボクサーを目指すという伝統、文化が変わらずにあります。統一戦がどんどん行われているのがその例です。世界一には相応のファイトマネーも支払われますからね」

 同じ階級内で最も強いボクサーを決める。新型コロナウイルスの影響で流れてしまったがWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太と、IBF世界ミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の一戦が世界的に注目されたのも理解できる。

 那須川と武居はかつてアマチュア時代の2012年(試合時は那須川が13歳、武居が15歳)にキックでの対戦経験がある。結果はドローに終わったが、今度はボクシングでの決着戦を望む声が早くも聞こえている。安河内氏は今後の2人ついてどう見ているのだろうか。

「対戦するためにもボクサーとして経験を積み成熟することが大事です。武居はパンチ力を生かしKOを重ねているが、今後は相手も持ち味を殺そうとします。それに対してどう立ち向かうか。これまで以上に技術力を高めないといけない。那須川はまだボクシングのリングに立っていない。これまではキックとパンチの両方で勝負してきたがパンチだけとなり覚えることも多い。細かい部分を含めボクサーとして(実力などが)見えてくるのはこれからです」

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今後、2人が対戦する可能性は?