「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。

MENU ■偏差値が高いことに、何の価値があるのか? ■合う学校かどうかは、実際に通ってみないとわからない ■誰かに言われて選んだ学校では、モチベーションが保てない

 連載9回目の今回は、まさに偏差値にとらわれずに「我が子にあった学校」を選んだものの、どうしても悩みが消えないお母さんからの相談です。

■偏差値が高いことに、何の価値があるのか?

矢萩:まず塾の先生が「少しでも上を狙った方がいい」ってどういう意味で言ったのか、ということを考えたほうがいいですよね。娘さんの性格や性質をちゃんと理解した上で、将来を見据えて「いい」学校があると言っているのか、単に偏差値という数字だけの話をしているのか。

安浪:そうですね。偏差値が高い=入試問題が難しい、という文脈で言うならば、勉強していく上での目標として設定するのはありだと思います。ただ、「受かる可能性があるから受ける」って言うのは、なんだかよくわからないというか……。

矢萩:その先に6年間の学校生活がある、ということが丸々抜けちゃっている。

安浪:「偏差値が高い」ということの何に価値があるのか?ということですよね。そこをちゃんとこの塾の先生から聞けているのかも気になります。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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