「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さん。今回は「早生まれの子の受験」がテーマです。

MENU 「待ち」の姿勢が大事 早生まれかどうかより他の要素が大きい 主体的ではなく勉強をやらされている場合

「待ち」の姿勢が大事

矢萩:早生まれの子の受験こそ、「待ち」の姿勢が大事だと思います。息子さんが4年生だとしたらまだ差があるのは当然で、体が小さいと体力的な差もあるかもしれません。4年、5年のうちはあまり焦らずに見守ってあげることが大事だと思いますね。

安浪:中学受験に関しては早生まれの方が不利、と言われたりもしますけれど、もちろん例外の子もいるわけで、どこまで親がそれを気にするか、というだけのような気もしますね。

矢萩:わが家で言うと、僕がまず早生まれなんです。そして6歳の息子も早生まれ。息子が生まれた時には受験業界の人から「中学受験業界にいるのになぜ3月生まれ?」みたいなことを言われたこともありましたよ。

安浪:えー!それは失礼ですよね。

矢萩:もう中学受験至上主義というか、少しでも勝つために逆算する思考に疑問を抱いていないんだな、と思いました。昔、丙午に子どもを産んだほうが子どもの数が少ないから受験には有利、と言われていた時がありましたよね。それに近いというか。

安浪:そういうのってもう迷信に近いものがありますよね。

矢萩:そうそう。そういうマインドの親と一緒に暮らしているほうがむしろマイナスの影響が大きい気がします。

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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