安倍元首相と岸田首相、麻生副総裁(C)朝日新聞社
安倍元首相と岸田首相、麻生副総裁(C)朝日新聞社

 岸田文雄首相が第100代総理大臣に就任し、岸田内閣がいよいよ始動した。しかし、顔ぶれを見ると、「派閥の意向を重視した印象ですね」と自民党の閣僚経験者。派閥別に見ると、清和政策研究会(細田派)4人、麻生派3人、竹下派4人、二階派2人、岸田派3人、石破派と石原派は0人。

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 また、党役員人事では、麻生派の麻生太郎副総裁、甘利明幹事長、無派閥の高市早苗政調会長、福田達夫総務会長(清和会)、谷垣グループの遠藤利明選対委員長という人事になった。

「人数としては、安倍前首相の細田派や竹下派が重視されたように見える。しかし、党人事、閣僚ポストで一番、気分をよくしているのは麻生氏でしょう。岸田首相河野太郎氏が所属する麻生派から多くの支援を得られた。その恩義に報いるような人事だ」

 こう話すのは、宏池会の事務所から自民党本部に入り、20年以上、政務調査会の調査役を務めた政治評論家の田村重信さんだ。宏池会の流れをくむ派閥は、岸田派、麻生派、谷垣グループで、谷垣グループの遠藤氏も党4役に起用された。だが、岸田氏と個人的にも親しく、推薦人にもなった石原伸晃元幹事長が率いる石原派は、0人だった。石原派の国会議員はこう不満を漏らす。

「谷垣グループの方が石原派より数は多いが、会長の石原氏が積極的に応援した。当然、党役員なり閣僚ポストはまわってくると思っていた。それがふたを開けたら、0でしょう。うちは結束が固く、総裁選でも全員が岸田首相に投票、離脱者がいない。岸田首相と激突した石破派と同じく0というのは、なぜという思いだ」

 麻生派54人と谷垣グループ15人と岸田派46人が合流する「大宏池会」構想が実現すれば、116人となり、最大派閥となる。

 現在の最大派閥は、安倍晋三前首相が実質的に率いる清和会の96人。それを大きく上回る数を擁することになる。

「うちは幹事長をとり、麻生氏も副総裁をおさえた。そして、財務相など主要閣僚が3人でしょう。麻生氏、甘利氏は上機嫌ですよ」(麻生派の国会議員)

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麻生氏のわが世の春も