北村拓己(c)朝日新聞社
北村拓己(c)朝日新聞社

 リーグ3連覇を狙う巨人が大失速している。9月は6勝14敗5分。首位・ヤクルトに5ゲーム差、阪神にも4ゲーム差と引き離された。白星から見放されている要因が9月の25試合中、6割以上の16試合が3点以下と貧打が深刻な打線だ。主軸を担っていた丸佳浩の状態が上がらず、シーズン途中にトレードで電撃獲得した中田翔も打率.125、2本塁打、5打点と救世主になるどころか、打線の中でブレーキになっている。

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 その中で、他球団のスコアラーが「あの選手を代えるのはもったいない」と漏らした時があった。9月26日の阪神戦。9回に1点差に迫り、さらに2死一、二塁と一打逆転の好機。途中出場の北村拓己が打席に向かうと、原監督が「代打・中田翔」を審判に告げた。中田は三ゴロに倒れて敗戦。自力優勝の可能性が消滅した。

「北村はいい選手ですよ。ミート能力が高くてパンチ力もある。選球眼が良くて、中島宏之の西武時代を彷彿とさせる。研究されて打撃不振の時期がありましたが、レギュラーを獲得するために誰もが通る道です。もう少し我慢強く使っても良かったかなと。個人的には中田より脅威ですね。起用しないのがもったいないです」

 北村は星稜高、亜大を経て17年ドラフト4位で入団した若手の有望株だ。プロ2年目の19年に打率.290、8本塁打、66打点をマークし、最高出塁率(.414)のタイトルを獲得。昨年は8月4日の阪神戦でガルシアからバックスクリーンにプロ初アーチを放つなど自己最多の57試合に出場した。レギュラー獲りを狙う今年は6月中旬から二塁のスタメンに定着。地元・金沢に凱旋した22日のDeNA戦で4回に左翼席へ1号3ランで勝利に貢献すると、26日のヤクルト戦でも3回に小川泰弘のフォークを左翼席に2号3ランを放つなどプロ初の猛打賞と気を吐いた。

「北村はボール球を振らずに自分の優位なカウントを作るのが巧い。アマチュア時代は巧さはあったけど長打がどうかなと思いましたが、プロに入って年々力強さが出てきている。出塁率も高いし、下位に置いたら塁に出るチャンスメーカーにもなれるし、走者をかえすポイントゲッターとしても機能する。内野全般を守れるし器用なのでユーテリティープレーヤーの立ち位置になりますが、まだまだ若いし潜在能力が高い選手なのでもったいない。スタメンで4打席与えた方が力を発揮するタイプだと思います」(他球団のスカウト)

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