ドラフト1位で競合の可能性も高い市立和歌山・小園健太 (c)朝日新聞社
ドラフト1位で競合の可能性も高い市立和歌山・小園健太 (c)朝日新聞社

 10月11日に迫ったドラフト会議。プロ志望届の提出は9月27日に締め切られ、あとは当日の指名を待つばかりとなったが、12球団は誰を指名すべきなのか。有力選手を中心に探ってみたいと思う。今回はセ・リーグAクラスの3球団についてだ。


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ヤクルト:投手陣の底上げが最優先。野手は外野の手当てを

 2年連続の最下位から一気に優勝も見えてきたヤクルトだが、将来を考えると不安要素は少なくない。やはり気になるのは投手陣だ。2年目の奥川恭伸が順調に成長しているのは大きいが、先発もリリーフもまだまだ層は薄い。奥川以外の上位指名した若手もまだまだ戦力となっていないだけに、今年も上位指名は投手が最優先となるだろう。

 即戦力を重視するのであれば広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)が筆頭候補となる。コンスタントに150キロを超えるストレートだけでなく変化球、コントロールも高レベルで先発、リリーフどちらでも力を発揮できるというのも大きな長所だ。本人もヤクルトファンを公言しているが、球団の需要にもマッチした存在と言えるだろう。将来性に舵を切るなら奥川と並び立つ素材の高校生が狙い目となる。小園健太(市立和歌山)、風間球打(明桜)ももちろん候補となるが、一人を挙げるとすれば森木大智(高知)を推したい。中学時代から注目されていたという点でも奥川と共通しており、この2人が二枚看板となれば将来は一気に明るくなるだろう。左で力のあるボールを投げる投手も少ないため、2位で残っていれば鈴木勇斗(創価大)も狙い目だ。

 野手では内野手に比べて外野手に有望な若手が少ないため、最低でも1人は獲得しておきたい。年齢構成的には高校生が望ましいが、3位以下で狙えそうな選手で面白いのが田村俊介(愛工大名電)と前川右京(智弁学園)の2人だ。スイングの強さと長打力は高校球界でも上位で、右の強打者タイプである浜田太貴と並び立つ存在として期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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