就職でミスマッチを防ぐためには?(イメージ/GettyImages)
就職でミスマッチを防ぐためには?(イメージ/GettyImages)

 コロナ禍で大学生の就職活動はオンライン就活が中心になった。逆求人型就活サイト「OfferBox」を運営する中野智哉さんは「メリットも大きかった」と指摘する。最新の「就活」事情について、AERAムック『就職力で選ぶ大学2022』(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。

◆オファー型就活でミスマッチを解消

 新卒の採用形態が多様化するなかで、オファー型新卒採用が注目されている。登録者数18万人、利用企業8980社と同ジャンルの最大手サイト「OfferBox」を運営する「i-plug」は、21年3月、東証マザーズに上場を果たした。 同社CEOの中野智哉さんはOfferBoxについてこう説明する。

「OfferBoxの特徴は、プロフィールを登録している学生に対し、企業から直接オファーを送ること。私自身が新卒でブラック企業に入社したという苦い経験を踏まえ、学生と企業のミスマッチを防ぎたいとの思いから立ち上げたサービスです」

 21年卒の入社実績は、3547人。登録者14万7000人に対して2%強が入社しており、数字は年々上がってきている。

「学生にとっても企業にとっても、採用や入社が決まるというのは一番重要なこと。けれどもそれだけではなく、知らなかった企業に出合ったり、オファーによって自分の新たな一面を発見できたりという面でも、活用していただいています」

 コロナの影響としては、21年卒に関しては混乱が生じたものの、新卒採用そのものに大きなダメージはなかったと話す。

「21年卒については、求人倍率が前年の1.83倍から1.53倍にダウンしました。とはいえ、学生1人に対して1.53の仕事があり、学生のほうが少ない状況です。ただし、学生側は不景気と感じ取ったようで、大手を志望していた学生が軒並み中小企業志望になる状況が見られました。22年卒ではその混乱は収まっていて、求人の件数も21年卒に比べて微減という状況です」

 中野さんは、コロナ禍でのより大きな変化として、オンライン就活への移行を挙げる。

「アメリカなど海外では採用対象が英語圏と広いため、コロナ以前からオンライン選考が浸透していました。日本はなかなか浸透しなかったのですが、コロナによって劇的に移行が進みました。とくに地方の学生にとっては、交通費や宿泊代などコスト負担が軽減するなど、メリットは大きかったと思います」

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勝負は会社に入ってから。選択肢として「起業」も