日本ハム時代の大谷翔平(左)と栗山英樹監督 (c)朝日新聞社
日本ハム時代の大谷翔平(左)と栗山英樹監督 (c)朝日新聞社

 7月12日、米オールスター前日の本塁打競争に出場した大谷翔平は、大激戦の末、1回戦敗退となったが、日本ハム時代の恩師・栗山英樹監督は「すぐに結果が出ないのが、大谷らしいよね。最初のほうは全然打てなくて」と独特の捻った言い回しでコメントした。

 野球ファンならご存じのとおり、栗山監督は、斎藤佑樹に対しては優しいコメントが多いのに、大谷には常に辛口のコメントを浴びせてきた。

 これは、プロ入り後、なかなか結果を出せないでいる斎藤を褒めることによってやる気を引き出そうとしているのに対し、世界一の選手になれる類まれな素質を持った大谷には「この程度で安心してもらっては困る」と常に上を目指すよう願っているからだ。

 そんな恩師ならではの愛情の裏返し的表現とも言うべき、“辛口語録”の数々を振り返ってみよう。

「バカヤロー!」「大バカヤロー!」「ちょっとバカヤロー」

 2013年、ルーキー・大谷は、3月24日のオープン戦、ヤクルト戦にスタメン起用されたが、3打数無安打に終わる。「見極めができていない。よくわからない」と今後の起用法に頭を悩ませた栗山監督は「翔平、バカヤローだね」と苦笑した。

 翌14年の春季キャンプでも、初日にブルペンで精彩を欠く大谷に「バカヤロー!」を連発。2日目のアップ中のダッシュで靴が脱げると、「大バカヤロー!」にエスカレートした。

 だが、3日目のブルペンでやや状態が上向くと、「良くはなっているけど、良くはない。ちょっとバカヤローだね」と、その都度ニュアンスは変わりながらも、3日連続のバカヤロー発言が飛び出した。

 さらに2月18日、大谷が野手として実戦初出場をはたすと、「打つほうは、投げるほうと違って、バカヤローじゃないね」。本来なら「いいね!」と褒めてもおかしくないのに、ここでも「バカヤロー」に絡めていた。

 また、翌15年7月29日のオリックス戦では、敬遠された大谷が、代走と交代した直後、一塁ベースを踏まずにベンチに引き揚げ、あわや走塁放棄でアウトのチョンボを犯すと、「大バカヤローを超えている。裸で家を出るようなもの。1週間食事を食ってないとか」とボロクソだった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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常に辛口だった大谷へのコメント