Jリーグ最高のドリブラーが、ついに欧州挑戦を選択。プレミアリーグのブライトンへ加入した後、労働許可等の関係もあって今季はベルギーのサン=ジロワーズへとレンタルされることに。ヨーロッパを舞台に自身の力だけで道を切り開く戦いに身を投じた。
本人も並々ならぬ覚悟を持って望んでいるだろう。期待された五輪ではケガに苦しみ続け、プレーすることさえままならなかった。3位決定戦は途中出場から一人圧巻のプレーで意地を見せたが、納得しているはずはない。「充実感はない」という言葉からもそれは伺える。そして、「個の力を高めるしかない」との決意が今回の海外挑戦につながっているのだろう。
三笘が加入するサン=ジロワーズだが、2018年にブライトンのオーナーによって買収され、今季は久々に1部リーグへと復帰。フェリス・マッズ監督が採用する3-5-2システムの下、若い力が躍動し、開幕6試合で4勝2敗。堂々の首位だ。三笘にとって現チームに慣れ親しんだ左ウイングのポジションがないことは不利となるかもしれないが、言い訳をしている場合ではない。ブライトンの思惑は労働許可証の発行を待ちつつヨーロッパでの経験を積ませ、来季以降に合流させること。そのため、サン=ジロワーズでは主力級の活躍が求められる。世界最高峰のリーグへと挑戦するために、今季はヨーロッパで「丁寧な自己紹介」をできるだろうか。
【林大地】
「ビースト」の愛称で親しまれたストライカーは、「シンデレラボーイ」として一躍時の人に。当初はバックアップメンバーだったが、上田綺世と前田大然の負傷によってチャンスを得ると、五輪5試合に先発出場。大会中にプレーの幅が驚異的に広がっていき、ゴールこそなかったが、その柔軟性と献身性でチームを助け続けた。すると大会終了後、シント=トロイデンへの移籍が決定。あっという間に欧州挑戦を勝ち取っている。
そしてベルギーでも、デビューからたった9分でゴールを奪ってみせた。味方のお膳立てによって完全フリーの状況で無人のゴールに押し込む形であったが、やはり“持っている”ことは間違いない。イロンベ・ムボヨが退団し、移籍を熱望していた鈴木優磨が残留となったことで、今後チームとしてどういったものが求められるのか。
DMM.comが経営権を持つシント=トロイデンは、冨安健洋に遠藤航、鎌田大地など、直近数年間で多くの日本人選手がステップアップしていったクラブ。特にコロナ禍による財政難から他国のトップリーグでは「完成されたスターを引き抜く」よりも「未完の大器を買って育てて売る」方向にシフトしており、ベルギーなど小国のリーグには俄然注目が集まっている状況だ。24歳と欧州ではもう若手とは呼べない年齢だけに、今季しっかりとゴールという結果を残し、5大リーグへのステップアップを果たしたい。