レンタル先のサン=ジロワーズでの活躍が期待される三笘薫 (c)朝日新聞社
レンタル先のサン=ジロワーズでの活躍が期待される三笘薫 (c)朝日新聞社

 ワールドカップのアジア最終予選が始まり、日本代表の戦いに注目が集まるが、欧州各国リーグでプレーする日本人選手の活躍からも目が離せない。今季も多くの日本人選手が海外でプレーするが、パフォーマンス次第で更なるステップアップを果たす可能性がある選手は多い。今シーズン大きな飛躍が期待できそうな4選手ピックアップし、現状をまとめてみた。

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【久保建英】

スペイン挑戦3シーズン目。今季はレアル・マドリーでの生き残りをかけ、最も重要な1年となる。昨季はあまりに出場時間が少なく(リーグ戦の先発はたった10試合)、焦りからかピッチ内外で「視野の狭さ」が目立ち、余裕のない状況が1シーズン続いてしまった。五輪ではシーズンの鬱憤を晴らすような大活躍を見せた(1次リーグ3試合連続先制点は偉業と言っていい)が、激しいプレッシャーのかかる決勝トーナメントではやはり「視野の狭さ」が目立つ結果に。目標として掲げていたメダルには届かず、3位決定戦終了後には人目をはばからずに大粒の涙を流している。

そうした1年を終えた久保は、今季は原点回帰と言わんばかりに自身の名を上げたマジョルカへの再加入を決断。買取オプションのないレンタル。レアル・マドリー、特にフロレンティーノ・ペレス会長の期待の表れである。逆に言えば、今季失敗すればロス・ブランコスでのトップチーム合流は果たせないだろう(ただでさえEU圏外枠というハンデもある)。

これまで以上に重圧のかかる2021-22シーズン。五輪後の休暇もろくに取れないままマジョルカへ合流。コンディション面でも厳しい戦いが続く。それでも彼の躍進に期待してしまうのは、メキシコ戦後にピッチで号泣する姿がEURO2004のクリスティアーノ・ロナウドに重なってしまうからだ。母国開催の決勝戦で大粒の涙を流した当時19歳の「クライング・ベイビー」だが、その後の歩みに説明はいらないだろう。「スーパースターになる切符」は手にした。そんな久保が戦う勝負の1年を見守りたい。

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三苫のドリブルは世界で通用するか