だが、野党はこれまで国会で何をしてきたのかについては改めて検証してみる必要がある。

 AERAdot.で「菅首相は戦犯に間違いないが、立憲、共産党もポンコツ過ぎたワクチン国会」(6月17日付)と報じたとおり、立憲や共産党がワクチンの国内治験にこだわり、欧米各国で行われていたワクチンの緊急使用に猛反対したことが接種の遅れにつながっていることは既に知られているところだ。

「ワクチン交渉は非公表なのでこれまで報じられていませんが、実は立憲民主党所属議員の軽率な国会での言動がファイザーの怒りを買い、ワクチン供給の遅れに一役買ったという重い事実があるのです」(官邸周辺者)

 問題となったのは、立憲民主党・柚木道義衆院議員が今年2月12日の衆議院予算委員会での以下の発言だという。

「ワクチン確保が後手後手に回ってきてるんじゃないかと指摘もある中で、私はぜひ、3社以外でロシア製ワクチン、中国製ワクチンも含めて確保に努めるべき」

 当時、政府はファイザーと供給量や時期を巡りギリギリの交渉や駆け引きを行っていたという。

「この国会発言を知ったファイザー幹部は激怒。『我々のワクチンは世界が求めているものだ。日本以外に求めているところはいくらでもある』『国会という公式の場で、中国やロシアから供給を受けるなどという議論がなされているのであれば、日本の態度は理解した』として態度を硬化してしまったのです。難しい交渉が一層紛糾し、供給の遅れに繋がったという経緯があります」(同前)

 仮にも柚木衆院議員が提案したとおりに中国製やロシア製ワクチンを確保できたとして、成果は出たかは、甚だ怪しいだろう。中国製ワクチンはデルタ株には有効性が低下するとされ、またロシア製ワクチンはEUでもまだ承認されていない状態だ。仮に確保しても日本国内ではほとんど活用できないということになりかねない。結局、野党の国会提案がワクチン確保の足を大いに引っ張ることとなったというのだ。

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医療逼迫で五輪中止の現実味