伸びしろを期待して起用される時期は過ぎた。昨年は開幕前に左脇腹を負傷し、プロ5年目で初めて一軍出場なし。石井監督は「まだ考えが甘い。自己評価が本人の中で高い感じがする。もう一皮むけないとチャンスは与えられないということを自覚して、死に物狂いでやってはい上がって欲しい。試合に出てこないと野球人生が苦しくなるので、ここが正念場」と厳しいメッセージを送った。

 スポーツ紙の遊軍記者は「首脳陣もオコエに対する期待は高いだけに歯がゆく思っているでしょう。素直で純粋な性格ですが、野球に取り組む姿勢がまだまだ甘い。オコエもプロ6年目。今年も2年連続1軍出場なしに終わったら、来季の戦力構想から外れる可能性があります。崖っぷちに追い込まれてどこまで必死になれるかですね。高3の夏に甲子園で躍動した姿を取り戻してほしい」

 将来を嘱望された「甲子園スター」たちがプロで活躍する保証はない。まばゆい才能を持ちながら消えてしまった選手をいくつも目の当たりにしてきた。一方で、日本ハム・大田泰示のように巨人では伸び悩んだが、プロ9年目に新天地でレギュラーをつかんだ遅咲きのケースもある。オコエは悔しさを糧にはい上がれるか。身体能力の高さを考えれば、このまま終わってしまうのはもったいない。苦しいリハビリを経て実戦復帰した際は、ファンに野球への思いが伝わる姿を見たい。(梅宮昌宗)