これまで私は、世の中に出回ってきた誤った情報を積極的に否定することも、それに積極的に反論をすることもしてきませんでした。一部の例外を除いて[注2]金銭トラブルと言われている事柄に対する私や母の認識を公にすることを避けてきた理由は、元婚約者の方のプライバシーを必要以上に晒すことになる可能性もあると考えたためです。加えて、元婚約者の方とお互いの認識についてきちんと話し合い、ご理解を得たうえで解決したいと考えていたことが理由となりました。私が私や母の認識を積極的に発信してしまえば、当事者同士で話し合うという本来の目的から外れると思いましたし、既に公表した文書に書いてある以上の情報をみだりに公にしたり元婚約者の方側から出ていると思われる情報を否定したりすることによって、母と元婚約者の方が話し合いもせずに対立しているかのような誤解をされる可能性も懸念しました。これらのことから、話し合いを円滑に進めるためにもなるべく沈黙を守った方がよいと判断しました。

それが今回、金銭トラブルと言われている事柄について誤った情報を訂正していくという判断に至ったきっかけは、主に2つあります。1つ目は、秋篠宮皇嗣殿下が令和2年(2020年)11月30日のお誕生日に際しての記者会見でおっしゃってくださったことです[注3]。2つ目は、同11月30日に、週刊現代に元婚約者の方が独占取材に答えたとされる記事が掲載されたことです(以下、この記事及び同年12月11日に発売された週刊現代の記事を「週刊現代の記事」とします)。上述のとおり、母は令和元年(2019年)5月以降元婚約者の方との話し合いを継続してきましたが、その話し合いが終わっていないのにもかかわらず元婚約者の方の一方的なお話が記事になったこと、更にその内容の多くが残念ながら事実ではなかったことから、このまま否定や反論を一切することなく穏やかに話し合いを続けることは困難であると判断しました。

以上のような理由で、この文書を公表することに決めました。

3.基本的な方針について

私や母と元婚約者の方との間にこれまであったやりとり等について説明する前に、私と母が、基本的にどのような考えに基づいて金銭トラブルと言われている事柄に対応してきたのかを説明したいと思います。ある時期から一貫して優先して考えてきたのは、元婚約者の方ときちんと話し合い、ご理解を得たうえで解決するためにはどうすればよいか、ということでした。

次のページ
「元婚約者の方のご真意がわからない」