「まだ女の子がほとんど出勤できていないんです。出勤するまで店内でお待ちいただけたら、その間は無料でお酒を出しますので、いかがですか」

 と、不思議な案内をしてきた。

 聞けば、休んでもらっていた女性スタッフに、この日は急きょ出勤をお願いしたのだという。ただ、女性スタッフもそれぞれ都合があるため、「急に言われても」ということらしい。

「みなさん飲んだ後に来るので、まずは居酒屋さんが開いてくれないと厳しいです」(客引きの男性)

 在宅ワークの影響か、駅を利用するサラリーマンが少なくなっているといい、不安は尽きない。

 午後10時過ぎ。だいぶ飲んだのか、大きな声で会話しながら歩いている若い男女3人がいた。茨城県の宣言解除をニュースで知り、利根川を挟んだお隣の千葉県から「遠征」してきたのだという。

 利根川の対岸にある我孫子市から来たという大学生の男性は、「普段は柏(千葉県の柏駅)で飲むんですけど、初めて取手で飲みました。でも、店が思ったより全然やってなくて、行った店もまだ完全に通常営業じゃないってことで、さっき終わっちゃったんですよ。7時のラストオーダー気にしないでゆっくり飲めたからすごい楽しかったけど、もうちょっと飲みたかったですね」

 柏市のフリーターの女性は、26日の金曜日も取手で友人と飲む予定だという。

「柏から電車ですぐだから、千葉のこっち寄りの人で、同じことを考えてる人は多いかもしれないです。みんな自由がなくてストレスばっかりなので」

 午後11時。街の明かりはほとんど消え、さらに静けさが増した。

 通りに人はいなくなったが、どこかのパブからだろうか、男性のカラオケの歌声だけが響いていた。(AERAdot.編集部)