――ただ、そういう試みがされている一方で、標準や広角レンズではフルサイズに先を越されているようで釈然としないんです。もちろん、それがたくさん売れるかどうかはわかりませんけど、そういう製品も必要かと。

片岡 何せ会社を小さくしちゃったものですから(笑)。やりたいことはたくさんあります。ただ、資金も人材も限りがあるので、やはり優先順位をつけながら、ですね。去年はカーブアウトを進めながら開発、製造が粛々とがんばってくれたおかげでこのレンズを出すことができました。これからは会社を落ち着かせていかなければならない。そのなかでどういったことをやっていくか、広く考えたいと思います。

――PEN-Fみたいなカメラをヒットまではいかなくても、なんとか採算が合うくらいで出せないでしょうか?

片岡 可能性はあると思います。いちばんやってはいけないのは趣味性が高いものを、自信がないからと、安く売ってしまうこと。そうすると、生産台数が少ないのでまったく利益が出ない。やるとすれば適正な値段で売る。趣味の方向けの製品は数量は出ないですが、数自体はカタいんです。そこをきちんと見極められれば、出せる可能性はあると思います。

当面、新しいカメラボディーやレンズは出ない?

――性能、デザイン、作り込み、動作感触とか、すべてを含めてなんですけれど、会社がコンパクトになったので、特徴的な製品が出るといいな、と思っています。でも、当面は、新しい製品は期待しちゃダメですか?

片岡 いえいえ、そんなことはひと言も(一同、笑)。みなさまへ価値提供を続けるためのカーブアウトなので、自分たちがただ食べていければいい、という話ではありません。それだけでしたら、新製品開発なんて当面やめてしまって、粛々と売る。でも、それではわざわざカーブアウトした意味がない。お客様に価値を提供する、ということは、いままでのものを変わらずに売る、変わらずにサービスをするということもさることながら、新しいものを出すというのがわれわれメーカーの使命だと思っています――ということで……出ます!

――おお、力強いお言葉(笑)。年内発売を期待してもいいんでしょうか?

片岡 年内に……時期はお話しできませんが、現在頑張っております。あまりしゃべってしまうと怒られるんですが、少なくとも新社をつくってまでカメラづくりを続けてもらってよかったと言ってもらえるような製品を今後も出していきます。当然、一つだけではないので(なんと! 赤城)。そのなかにはみなさんが「おー」と声を上げるような、特集を組まなきゃ、みたいな製品が含まれています。

――うれしいです。すごく期待しています。

                 (構成:アサヒカメラ 米倉昭仁)

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