芸能人の独立が以前よりも成功しやすくなった背景には、昨年の公正取引委員会によるジャニーズ事務所に対する注意により、芸能事務所に対する世間の目が厳しくなったことやSNSやYouTube、ライブ配信アプリの登場などにより、タレントビジネスの幅が広がったことが挙げられるだろう。

 とくに、長年にわたってメディアの王様として君臨し、大手芸能事務所と太いパイプで結ばれているテレビの凋落は無視できない。

 近年は何かと芸能事務所に対する世間の風当たりが強い。

 タレントのデビュー前から莫大な初期投資や時間をかけて大きなリスクを抱えながら新人の発掘、育成も行う日本の芸能事務所の性質を無視し、単純に仕事の窓口である海外のエージェント事務所と比較して、批判的な見方をする風潮には個人的にうんざりした思いもある。

 だがその一方で、中居や米倉のほか、4月に「スターダストプロモーション」から独立して実業家の顔も持つ柴咲コウ、“闇営業”騒動以来いまだ吉本興業との和解には至っていないものの、YouTuberとしてそれなりの成功をみせている「雨上がり決死隊」の宮迫博之らの以前と変わらぬ活躍を見るにつけ、来年以降も人気タレントによる独立の機運がますます高まることは間違いないだろう。

 芸能事務所にとっては厳しい1年となりそうだ。

 今年も世間の耳目を集めた話題といえば、大物芸能人の不倫騒動だ。

 とくに“多目的トイレ不倫”や“1万円セックス”などのパワーワードがネット上や週刊誌の誌面などで飛び交い、先日の謝罪会見も物議をかもしたお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建は今なおその動向が注目を集めている。

 よく「昔に比べてなぜこれほどまでに芸能人の不倫はたたかれるのか?」という疑問をぶつけられるが、その要因として「芸能人と一般社会との距離感の変化」があるだろう。

 かつて“スター”と呼ばれた人気芸能人たちは、その類まれなる魅力やカリスマ性でまばゆい輝きを放ち、いわゆる一般人からすると簡単には手が届きそうもない遠い憧れの対象として機能していた。

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「好感度」をウリにすることの代償