※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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下北沢病院の院長、菊池守医師
下北沢病院の院長、菊池守医師

 足の親指が小指側に曲がり、変形やねじれを起こす病気、外反母趾(がいはんぼし)。足が変形する病気の中では非常に発症率が高く、一般の認知度も高いが、その詳細は意外と知られていない。足の病気に詳しい医師に取材した。

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 足の総合病院としてあらゆる足の病気に対応している下北沢病院で院長を務める菊池守医師は、外反母趾の原因について、次のように話す。

「代表的なものとしては、靴の使用があります。先の細い靴や、サイズの合わない靴を繰り返し履くことで、足が変形していきます。また、偏平足(足のアーチが低くなった状態)も外反母趾の原因と言われています。加齢によって靭帯が緩んで偏平足になることがあるので、サイズの合った靴を履いていても外反母趾になることはあります。遺伝的要因で発症することも少なくありません」

 外反母趾の診断では、第一中足趾節関節(親指の付け根の関節)を軸に、どれくらい親指が小指側に曲がっているかを診る。これが20°を超えると外反母趾と診断される。この角度はHV角と呼ばれ、HV角が20°~30°は軽症、30°から40°は中等症、40°を超えると重症に分類される。

 菊池医師は、診断基準は変形だが、外反母趾の症状はそれだけではないと強調する。

「外反母趾になると親指の付け根が出っ張るので、そこが靴に当たって痛いとか、変形した指が擦れてタコができるとか、足がしびれるとか、関節の中が痛いとか、いろいろな症状が出ます。外反母趾症候群というようなイメージが分かりやすいかもしれません」

 足の変形に付随して出てくる症状は、患者によって千差万別だという。

 外反母趾の治療は、そうした患者それぞれの悩みに応じて、臨機応変におこなわれる。変形の治療だけとってみても、重症度などによって、選択される治療法は変わってくる。

 ただし、外反母趾の症状緩和のためには基本的に保存的治療(手術をしない治療)が第一選択となる。保存的治療の代表的なものとしては、靴に敷いて使うインソールがある。

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