リーグ連覇を果たした巨人の原辰徳監督 (c)朝日新聞社
リーグ連覇を果たした巨人の原辰徳監督 (c)朝日新聞社

 ソフトバンクの4年連続日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。前評判通り大本命が強さを発揮したシーズンと言えるが、球団ごとに見ていくとそれぞれ収穫と課題があったことは間違いないだろう。そんな中でも現場の最高責任者である監督の手腕についてスポットライトを当て、査定してみたいと思う。今回はセ・リーグの6球団だ。※評価はA~Dの4段階

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・原辰徳監督(巨人) 評価:A

 日本シリーズでは2年連続でソフトバンクに4連敗を喫したものの、4年連続でリーグ優勝を逃していたチームをセ・リーグ連覇に導いた手腕はさすがという他ない。過去2回の監督時代から目立つのがやはり若手の抜擢である。投手では戸郷翔征、大江竜聖、野手では吉川尚輝、松原聖弥、増田大輝などが貴重な戦力となっている。またベテランの中島宏之、トレードでシーズン途中に獲得した高梨雄平、ウィーラーなどくすぶっていたベテラン、中堅も見事に再生している。中心選手は固定しながらも、実績がある選手と若手を上手く競わせながらチーム力を高めていく術は見事である。来シーズンは絶対的エースの菅野智之が抜ける可能性が高いが、その中でどのように投手陣を整備していくかがポイントとなるだろう。

・矢野燿大監督(阪神) 評価:B

 開幕から10試合で2勝8敗と大きく躓くスタートとなったものの、7月以降は5ケ月連続で月間勝ち越しを記録し、最終的には昨年を上回る2位でシーズンを終えた。シーズン当初、打線は外国人3人と糸井嘉男、福留孝介の大ベテランに依存していたが、大山悠輔を我慢して主砲に固定することができたのが何よりも大きい。投手では高橋遥人、馬場皐輔、野手では小幡竜平を抜擢し、近い将来の中心選手となりそうなのは好材料だ。しかし全体的にはまだまだ固定できていないポジションが多い印象を受ける。特に二遊間と外野の両翼は“帯に短し襷に長し”という選手が多く、外国人選手への依存度も高い。ドラフトでは野手一番人気の佐藤輝明を競合で引き当て、昨年上位で指名した西純矢、井上広大の二人も楽しみだが、彼らを抜擢しながらどうチームを作っていけるかに注目したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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