「経済を回さないといけないことは理解できます。しかし、出てくる対策が残念としかいいようがない。感染拡大を防ぎつつ、経済を回したいならば、営業時間を短くするべきではありません」(同)

 久住医師によると、感染防止でカギとなるのは空間の「定員」だ。海外では、お店の定員の2割くらいに収容者数を抑えることが感染予防には効果があるというデータが出ているそうだ。その状態で売り上げを一定確保するためには、営業時間を長くするしかない。

 営業時間を短縮したら、経営者としては売り上げを確保するために客を詰め込んだうえで、回転を上げようとするだろう。そうなると感染リスクが上がってしまうので、時短営業は逆効果なのだ。

「会食を少人数に制限してでも、お店がいっぱいになってしまったら同じことです。また滞在時間が短いよりも、そこにいる人数が少ない方がいいわけですから、1時間飲み放題キャンペーンなども感染予防としては疑問です」(同)

 そもそも、現状の日本のコロナ対策は“お粗末”だと久住医師は指摘する。久住医師は以前から、無症状の患者が感染を広げているのならば、例えば東京都ではPCR検査を都民全員にやるくらいに徹底して、それによって無症状の陽性者をあぶりだし、自宅待機させるべきだと訴えている。現に、中国では、青島市で10月にクラスターが発生したとき、住民約1000万人にPCR検査を4日間で実施。以降、さらなる感染拡大は報告されていない。

「アメリカの海兵隊での調査からも同様の対策が導けます。症状が出てからPCR検査をするという方法をとったところ、感染者は一人も見つけることができず、片っ端から検査をしたところ感染者がみつかった。国や都道府県というスケールで同じことがいえるかとうかはわかりませんが、症状がでたら自宅待機するという方法では感染の広がりは止められないでしょう」(同)

 新型コロナ担当の西村康稔経済再生相は今後について「神のみぞ知る」と発言。科学的には無策に等しい対策の結果について、政府は責任をとるつもりはないようだ。(AERAdot.編集部 鎌田倫子)