小さくて気軽に使えるポケット翻訳機(撮影/工藤隆太郎)
小さくて気軽に使えるポケット翻訳機(撮影/工藤隆太郎)

 音声やテキストを入力すると、さまざまな国の言葉に翻訳してくれる自動翻訳技術。ポケット翻訳機や翻訳アプリなど、その技術を活用した身近な自動翻訳ツールにはさまざまな種類があるが、どのように使い分ければいいのだろうか。現在発売中の『AERA English 2020 Autumn&Winter』では、翻訳機情報サイト「トライ翻訳機」(https://try-honyakuki.com/)編集長の田畑秀樹さんと、翻訳会社「川村インターナショナル」代表取締役社長の森口功造さんを取材。ポケット翻訳機と翻訳アプリについては田畑さんに、翻訳サイトについては森口さんに、それぞれの特徴や使う際の注意点などを聞いた。

【3ステップ】初見の単語でも読めるようになるには

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「ポケトーク®」(ソースネクスト)や「ワールドスピーク」(キングジム)などで知られるポケット翻訳機は、気軽に持ち歩けて、取り出してすぐ使えるのが魅力だ。少なくとも40以上の機種が発売されている。

「ポケット翻訳機は簡単な操作で使えるので、機械に弱い人やスマホが使えない年配の人にも使いやすいです」(田畑さん)

 ポケトークもワールドスピークも言語ごとに最適な翻訳エンジンを選定するため、翻訳精度は高い。ポケトークには、シンプル機能の「ポケトーク®W」(19,800円+税)と、撮影した文字を自動認識して翻訳するカメラ翻訳機能(55言語)と会話レッスン機能(英・中)が付いた「ポケトーク®S」(29,800円+税)があるが、どちらも音声翻訳の対応言語は55で、翻訳精度も同じだ。「ワールドスピークHYP10」は155もの言語に対応し、178の国と地域で使える(グローバル対応SIMカード使用時)。

 ワールドスピークはオフラインでも17言語の翻訳に対応しているが、ポケトークはオフラインでは使用できないなど、機種によって機能が異なるため、用途や渡航先に合ったものを選ぶことが大切だ。

「スマホを使う人にとっては、翻訳アプリが便利でおすすめです」と田畑さん。100以上の言語間に対応している「Google翻訳」(Google LLC)や、日本の研究機関「情報通信研究機構(NICT)」が開発した「VoiceTra(ボイストラ)」など、たくさんの翻訳アプリが登場している。Google翻訳は手書き入力やカメラ翻訳機能もついている。VoiceTraは短い文章に特化した会話向けだが、日本語との対訳は非常に精度が高い。訳された言葉を再度元の言語に訳す「逆翻訳」の結果が表示される機能もあり、誤訳を防げる。

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