五十嵐は、一軍で再び輝くため日々模索している。

「年齢を考えれば、そろそろだというのは毎年考えている」(五十嵐)

 五十嵐は今季いまだ1軍登板がない。引退表明した藤川の1学年上で41歳になる。ヤクルトに復帰した昨季は45試合登板し、まだまだやれるところを披露したが……。

「満足な練習ができないことにストレスを感じている」と今季の様子をヤクルト球団関係者。

「見た目などから、チャラく見られることもある。しかし真逆で誰よりも練習する。チームトップクラスの練習量が五十嵐の投球を支えていた。しかし下半身を痛めたことで、走り込みなどができない状態だった」

 全体練習が終了しても黙々と走りこむ五十嵐の姿は、ヤクルト名物でもあった。練習に裏打ちされたものがなければ、満足いく投球などできるはずがない。

「気持ちが切れていないのが救い」と続ける。

「ブルペンで投げていても納得できず、切り上げてしまう時もあった。そんな時でも黙々と走りこむ。あれだけの実績がある選手。やり切ったと感じても仕方ない。でも本人はまだ上を目指している。その姿勢があれば必ず、1軍へ戻れる。また存在自体が若手にとっては大きい。彼を見て何も感じないのなら野球選手として何か欠けている」

 妥協しない姿勢は40歳を超えても変わらない。苦戦を続ける1軍にとっても強くて、明るい五十嵐の合流は待ち遠しいところ。

「球速だけでは厳しいので、毎年1つずつ球種を増やせればまだいける」(五十嵐)

 昨年は話題になったナックルカーブを武器にした。今年も新球に取り組む意向を口にしていた。2軍調整期間中、新しい武器を手にしている可能性もある。神宮へ戻った時、さらなる進化でチームの起爆剤になって欲しい。

『平成の怪物』松坂も、五十嵐と同じく今季は一軍での登板がない。

「絶対にへこたれるな」と藤川が引退会見で述べたが、現状では復帰のメドが立っていない。

 今季14年ぶりに古巣・西武への復帰を果たし、周囲の期待度は高かった。

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松坂は来年に勝負をかける?