しかしそんな低い期待の中でも佐野は開幕から9試合連続安打を放つ活躍を見せると、7月下旬からはホームランも量産。ここまで打率(.341)、安打(74)、本塁打(9)、打点(36)と、本塁打こそ10本を放っている宮崎敏郎に次ぐ2位だが、打率、安打、打点では全てチームトップの数字を残しているのだ。この活躍ぶりには4番に抜擢したラミレス監督もきっと驚いていることだろう。近年では福浦和也(元ロッテ)がドラフト7位入団で首位打者を獲得しているが、佐野にはそれを上回るドラフト9位からのタイトル獲得なるかにも注目だ。

 パ・リーグの野手では菅野剛士(ロッテ)に注目したい。2017年のドラフト4位で社会人の日立製作所からプロ入りし、即戦力としての期待もあったが過去2年間は打率1割台に低迷。ロッテの外野陣は実績のあるベテラン、外国人のマーティンにFAで加入した福田秀平、期待の若手である藤原恭大、高部瑛斗などが揃っていることもあってシーズン前に菅野を推す声はあまり聞かれなかった。

 しかし福田、荻野貴司の故障、角中勝也の不振もあって7月からスタメン出場機会を増やすと、ここまで2割台後半(.277)の打率と高い出塁率(.400)をマークする活躍を見せている。上背はないもののパンチ力は申し分なく、左投手を苦にせずに広角に打ち分ける打撃技術はチーム内でも上位だ。この勢いで一気にレギュラーを獲得する可能性も十分にあるだろう。

 一方の投手で驚きの活躍を見せているのが石川柊太(ソフトバンク)だ。2013年の育成ドラフト1位でプロ入りし、3年目の2016年に支配下登録。2017年には8勝、2018年には13勝と順調に成績を伸ばしていたが先発とリリーフの併用であり、昨年は故障でわずか2試合の登板に終わっている。

 しかし今季はシーズン初登板こそ4回途中6失点と崩れたもののその後の7試合は全て先発で安定したピッチングを披露。8月1日の西武戦では被安打1、13奪三振という圧巻の投球でプロ入り初完投、初完封もマークするなどここまでチームトップの6勝を挙げる活躍を見せているのだ。特に目立つのがパワーカーブだ。120キロ台中盤のスピードがありながらも打者の手元で急激に大きく変化するボールで、カウント球としても勝負球としても使うことができている。

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中日の“育成出身助っ人”も