中日のヤリエル・ロドリゲス(画像は中日ドラゴンズからの提供写真)
中日のヤリエル・ロドリゲス(画像は中日ドラゴンズからの提供写真)

 もうすぐ折り返しを迎える今年のペナントレース。セ・リーグは巨人が頭一つ抜けた状態で、パ・リーグは混戦が続いているが、新戦力が活躍している球団も少なくない。中にはシーズン前にあまり話題にならなかったものの、意外なブレイクを見せている選手も存在している。そこで今回はそんな“嬉しい誤算”ともいえる活躍を見せ、チームにとって欠かせない存在となっている選手にスポットを当ててみたいと思う。

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 まず名前が挙がるのは何と言っても堂林翔太(広島)だろう。プロ入り3年目の2012年に全試合出場を果たし118安打、14本塁打という結果を残したものの、その後は不安定な守備と確実性に乏しい打撃が災いして年々成績を落とし、過去2年間は本塁打0と完全に忘れられた存在となっていた。

 そんな堂林だったが、今年はオープン戦、練習試合で結果を残して実に6年ぶりとなる開幕スタメン出場を果たすと、2戦目に4安打をマークしたのを皮切りにヒットを量産。7月下旬まで4割を超える高打率を記録して、首位打者争い(25日時点でリーグ9位の打率.313)を演じる活躍を見せているのだ。昨年オフに3学年後輩の鈴木誠也とともに自主トレを行ったことがプラスになったと言われているが、昨年までと比べて明らかに速いボールに対して強くなり、持ち味である右方向への打球がより多く見られるようになった。

 守備についてはまだまだ危ない場面も多くみられるが、そのマイナスを大きくカバーするだけの打撃を見せている。主砲の鈴木以外に安定して長打を期待できる右打者が不足しているだけに、後半戦の巻き返しを狙うチームにとってもキーマンとなることは間違いないだろう。

 そして堂林以上のインパクトを残している選手が佐野恵太(DeNA)だ。明治大時代は二度のベストナインを受賞していたものの、守備位置はファーストということもあってドラフト9位という順位からもプロ側の評価の低さがよくうかがえる。プロでは打撃を生かして年々成績が上がっていたとはいえ、メジャーに移籍した筒香嘉智(レイズ)に代わるキャプテン、そして4番打者を任せるというラミレス監督の方針には首を傾げるファンも多かったことだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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ロッテにも嬉しい誤算