もう1人、若手で期待したいのが、今年7月に20歳になったばかりの中村敬斗(シント=トロイデン)だ。高校2年でガンバ大阪に入団して17歳でJデビュー、18歳で海外に渡ったスピード豊かな秀英アタッカー。左サイドからのドリブル突破と「敬斗ゾーン」と称される斜め45度からのシュートが武器だが、その位置からのFKも得意。

 昨季、所属したトゥエンテでは公式戦で計6得点を決めたが、そのうち1点は直接FKでニアサイドを鋭く射抜いたもの。戦術理解度に課題を残すが、シュートの威力、精度はすでに非凡なものがあり、FKキッカーとしての能力も高いレベルにある。今後、課題を克服しながら成長すれば、必ず日本代表のリストに入ってくる逸材であり、その際に「左のクボタケ」、「右のケイト」という形で全方位から直接ゴールを狙える形ができれば理想的だ。

 その他では、鎌田大地(フランクフルト)も候補者の1人になる。高いインテリジェンスの上で、シュート、パス、ドリブルと高い総合力を持つ前線のプレーメイカーでドイツを舞台に奮闘しているが、チームではFKのキッカーを任される試合もあった。着実にステップアップしており、今後は直接FKを叩き込むシーンが多く見られるかもしれない。

 国内でプレーする選手で、かつ日本代表クラスの選手であれば、天野純(横浜F・マリノス)、山中亮輔(浦和)あたりも候補となる。しかし、かつて中村俊輔や遠藤らが得点を決めていた時代に比べると、フリーキックで“得点の匂い”を漂わせる選手が随分に減った印象は否めない。

 今後、日本代表が世界の舞台で勝ち上がっていくためには、間違いなく必要な武器の一つだけに、ここで挙げた選手以外にも「フリーキックを蹴れる選手」を増やしていかなければならないのは事実。久保らの他にも若手選手の台頭も必要となってくるだろう。

 もちろん、今後の鍛錬が必要なのは、久保や中村も同じ。そして南野、中島、堂安の3人を含めて、その他多くの若手たちにも可能性がある。かつて中村俊輔が黙々と反復練習を繰り返したように、このコロナ禍の中で個人練習に励んでFKキッカーとして“覚醒”し、代表戦でゴールを決める日を、心待ちにしたい。