全席指定の「京王ライナー」は、着席して通勤できると、次の列車を待ってでも乗るほどの人気列車(C)朝日新聞社
全席指定の「京王ライナー」は、着席して通勤できると、次の列車を待ってでも乗るほどの人気列車(C)朝日新聞社
小田急は通勤に特急「ロマンスカー」も利用できるが、新百合ヶ丘で乗り換えが必要だ(C)朝日新聞社
小田急は通勤に特急「ロマンスカー」も利用できるが、新百合ヶ丘で乗り換えが必要だ(C)朝日新聞社
駅の開設から10年経った、1985年の多摩センター駅とその周辺。当時はまだ駅前に空き地が目立った(C)朝日新聞社
駅の開設から10年経った、1985年の多摩センター駅とその周辺。当時はまだ駅前に空き地が目立った(C)朝日新聞社

“多摩ニュータウンの足”として、常にしのぎを削りあう小田急電鉄多摩線と京王電鉄相模原線。小田急と京王は、両社の多摩センターと新宿の間を競合する。2018年に入ると、京王は2月22日に座席指定列車「京王ライナー」がデビュー、小田急は3月17日に小田原線代々木上原~登戸の複々線完成による多摩線のダイヤ見直しで競合はさらにヒートアップ! 将来は他社局の新線の開業により、どちらも重要性と利便性が増す見込みだ。

【写真】1985年の多摩センター駅周辺にはまだ空き地が!

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■多摩センター駅の乗降客数は京王が圧倒的

 2019年度の多摩センター駅1日平均の乗降人員は、京王90,353人に対し、小田急は51,315人。これだけ大差がつくのはダイヤや運賃の影響が大きい(参考までに多摩都市モノレールの多摩センター駅は2018年度37,104人)。

 京王多摩センターは、新宿を起点とする京王線から調布で分岐する相模原線にあり、西側の終点は京王多摩センターから4駅の橋本である。京王多摩センター~新宿29.2キロは330円(IC325円、運賃は以下すべて大人の額)と安く、日中の準特急は31分で結ぶ。しかも、相模原線のほとんどの列車は調布から京王線を走って新宿へ向かうので、沿線の人々にとっては安心感もあるだろう。列車によっては調布で、同一ホームで先に発車する京王線特急に乗り換えられることも相まって、利便性も高い。

 小田急多摩センターは、新宿を起点とする小田原線から新百合ヶ丘で分岐する多摩線にあり、西側の終点は小田急多摩センターの次駅の唐木田である。小田急の場合、小田急多摩センター~新宿30.6キロは380円(IC377円)で、若干高い程度。日中は多摩線内で完結する各駅停車が10分間隔、新宿直通の急行が20分間隔で運転されている。上り急行は同区間を43分で結ぶが、途中の新百合ヶ丘で快速急行に接続しており、乗り継ぐと33分に短縮される。一方、各駅停車に乗って新宿方面へ向かうには、終点・新百合ヶ丘で隣のホームに移動しなければならない。

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複々線完成で小田急の巻き返しなるか?