キッズライン事件の「その後」 ジャーナリストが感じた“企業体質”とは (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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キッズライン事件の「その後」 ジャーナリストが感じた“企業体質”とは

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治部れんげdot.
キッズラインのホームページ(撮影/朝日新聞出版写真部)

キッズラインのホームページ(撮影/朝日新聞出版写真部)

ジャーナリストの治部れんげさん

ジャーナリストの治部れんげさん

――キッズラインが「守りたいもの」というのは、法律的な強さ、なのでしょうか。

治部 少なくとも、公表されたリリースからはそう読み取れます。法律的に「穴」がないことを強調することが悪いとは言いません。しかし、企業としてはもっと大事なものがあるはずです。

 登録していたいシッターが起こした犯罪は本人が刑事責任を負うべきものですが、そうした人物を登録させてマッチングしてしまった企業にも倫理的な責任は生じます。そもそも、マッチング事業では登録者の素性の確認には限界があります。同じような事業をしているどの企業にも事件が起こるリスクはあったのです。だからこそ、事件が起こってしまった後の対応が問われるのであり、そこに企業の姿勢、本音が表れるのだと思います。

 マッチングではありませんが、私も企業派遣型のシッターを利用していた時期がありました。そのとき、2回ほど利用した高齢の女性シッターが子どもにいじわるをしていたことが事後に判明しました。発覚は2回目の利用から数年後で、すでにシッターは使っていませんでしたが、シッター業務を放棄するような問題であったこと、同じような被害があるとまずいと思ってその会社に報告をしました。すると、翌々日には社長から直々にメールがあり、当該シッターのクレームの有無やすでに引退していることなど詳細な回答がありました。さらに、子どもを傷つけたであろうことの誠実なおわびが書き添えられていました。私のケースは深刻な被害ではないですが、子どもに関わる事業者のトップは、これくらいの対応をするものだと思います。

 ――たしかにマッチング事業において、登録者の犯罪性向などをどこまで見抜けるかという問題は根深いと思います。登録時の面談、研修などにどこまで時間と労力をかけるべきか、またそこまでコストをかけてビジネスとして成り立つのかという問題にもつながります。シッターをマッチングアプリなどで見つけようとする保護者にとっても、その企業がどこまで登録(採用)にコストをかけているかは見えづらい部分でもあります。

治部 シッターのマッチングに限らず、保育、育児は労働集約型の事業です。つまり、個々人の労働力に対する依存度が高いため、サービスの質を高めるには調達コストを上げる必要があります。いい人材を選別しようと面接や研修を丁寧に行ったり、労働者の時給を上げるほどコストは高くなり、企業の利幅は薄くなります。


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