【検察トップの人事権は誰が持つべきか】 元検事の若狭勝氏が知る「検察人事の内情」 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

【検察トップの人事権は誰が持つべきか】 元検事の若狭勝氏が知る「検察人事の内情」

このエントリーをはてなブックマークに追加
飯塚大和dot.
検察の内情を知る若狭氏から見ても、定年延長の「手法」には疑義が生じるという(C)朝日新聞社

検察の内情を知る若狭氏から見ても、定年延長の「手法」には疑義が生じるという(C)朝日新聞社

 芸能人による反対運動まで巻き起こり、大きな波紋を呼んでいる検察庁法改正案問題。法改正の進め方に問題があることは論をまたないが、そもそも検察トップの人事権は誰が持つことが適切なのか。東京地検特捜部副部長などを歴任し、東京高検検事長の黒川弘務氏と同期でもある弁護士の若狭勝氏に見解を聞いた。

【写真】「検察庁法改正案」への抗議騒動は“危険”と語るお笑い芸人

*  *  *
 私は内閣が検察の人事権を持つことは否定しません。検察も行政の一機関なので、内閣が決めること自体は問題ありません。

 ネットには「主権者である国民が(直接的に)人事権を持つべきだ」という意見が出ていますが、むしろこれは危ない。現在のアメリカのように世論やその時の機運の影響を反映する形になるので、独立した捜査機関であるはずの検察に、政治的な色が付きます。捜査機関としての独立性が損なわれる恐れがあります。

 国民のチェック機能を働かせたければ、最高裁の裁判官のように、○×式の国民審査で検事総長を罷免できる制度にすれば十分です。

 一方で、検察自らがトップの人事権を持つというのも、ある意味では危険です。捜査権と起訴権限を持っている点で、検察は強力な力を有しています。行きすぎた捜査や独善をチェックできるような存在が必要です。そういう意味で、法務大臣が人事権を持つという今の制度は適切であると思います。

 問題は、今回の改正案にあるような定年延長のやり方です。これでは時の政権の意向で人事を左右することができてしまう。法務大臣が自由裁量でこうした人事権を持ったら、別の力が働きます。何らかの制限をつけないと、中立性が保てません。
 
 検事も人の子ですから、自分の将来はどうなるのかと考えます。内閣の評価次第で自分の人事が左右されるのであれば、政権がらみの捜査がトーンダウンしたり、忖度したりすることも十分起こり得ます。こうした人間心理に基づいて考えても、検察の中立性を欠いてしまいます。

 仮に今回の法案が通れば、検事長や検事総長は、相当に内閣の顔色をうかがうようになるのではと思います。かつての田中角栄元首相の逮捕劇のようなことは、まず起こり得なくなります。

 


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい