1年前には大勢の人が詰めかけていたが…(写真左=2019年5月1日、撮影/写真部・馬場岳人 写真右=2020年5月1日、撮影/井上啓太)
1年前には大勢の人が詰めかけていたが…(写真左=2019年5月1日、撮影/写真部・馬場岳人 写真右=2020年5月1日、撮影/井上啓太)
1年前とは対照的となった皇居周辺(写真左=2019年5月1日、撮影/写真部・馬場岳人 写真右=2020年5月1日、撮影/井上啓太)
1年前とは対照的となった皇居周辺(写真左=2019年5月1日、撮影/写真部・馬場岳人 写真右=2020年5月1日、撮影/井上啓太)

 天皇陛下が即位されて、ちょうど1年となる5月1日。“令和初日”には大勢の人で混雑していた皇居周辺は、一転して閑散としていた。現場を歩いた記者がリポートする。

【写真】様変わりした皇居周辺がこちら

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 ちょうど1年前の5月1日、その姿を一目見ようと皇居周辺には大勢の人々がつめかけていた。たくさんの日の丸の旗が振られ、お祝いムード一色だったという。当時、現地で取材していた記者はこう話す。

「広場は数えきれないほどの人々で埋め尽くされ、群衆は皇居外周まで続いていました。期待感の現われでしょう、午前9時前にはすでに馬場先門交差点付近や大手門付近にはそれぞれ100人ほどの人だかりがありました。高齢者の割合は多かったものの、学生らしきグループや家族連れなど、幅広い層が駆け付けました」

 それが1年で状況は一変した。1日午前11時半ごろ、まず記者が訪れたのは昨年11月の「国民祭典」で約3万人(主催者発表)が集まった皇居前広場だ。遠くに数人の人影が見えるだけで、人の往来はほどんどない。閑散とした広場には、車の走行音だけが響いていた。

 上空には雲一つない青空が広がる。初夏の強い日差しが地面に反射し、まぶしいくらいだ。ここから「外桜田門」に向かって歩く。幕末の大老、井伊直弼が水戸・薩摩藩士に襲われた場所だ。たくさんの“皇居ランナー”が走っているのが見える。この日の東京の最高気温は25.5度。ランナーにとっては暑すぎるくらいだろう。マスクをして走っている人は顔をしかめ、呼吸を荒くしていて余計に苦しそうだった。ランニングを終えて休憩していた40代男性は、息を切らしながら取材に答えてくれた。

「マスクをして走るのは苦しいので、本当は着けたくありません。しかし、メディアなどでランナーにもマスク着用が呼びかけられていますし、着けないと許されない社会の空気も感じます。今日は天皇の即位の日ですか?全く気づきませんでした」

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「即位の日、ここに着いて気づいた」