風景写真家・水越武さん語る「色」の美学 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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風景写真家・水越武さん語る「色」の美学

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米倉昭仁dot.#アサヒカメラ
冬の高山では晴れていても風まで穏やかになるのは珍しい。横から打ちつける雪に耐えるオスのライチョウ■ライカR6.2・エルマリートR 180ミリF2.8・コダクローム64・絞りf4・125分の1秒

冬の高山では晴れていても風まで穏やかになるのは珍しい。横から打ちつける雪に耐えるオスのライチョウ■ライカR6.2・エルマリートR 180ミリF2.8・コダクローム64・絞りf4・125分の1秒

ヒナの成長は驚くほど早く、誕生して10日もすると、ひと回りほど大きくなる。顔つきも引き締まってきて、かわいかったヒナの顔とは違ってくる■富士フイルムX-Pro2・フジノンレンズXF50~140ミリF2.8 R LM OIS WR・ISO800・AE

ヒナの成長は驚くほど早く、誕生して10日もすると、ひと回りほど大きくなる。顔つきも引き締まってきて、かわいかったヒナの顔とは違ってくる■富士フイルムX-Pro2・フジノンレンズXF50~140ミリF2.8 R LM OIS WR・ISO800・AE

みずこし・たけし
1938年、愛知県生まれ。58年、東京農業大学中退。99年、土門拳賞受賞。2009年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。主な写真集に『山の輪舞』『穂高 光と風』『森林列島』『熱帯雨林』『真昼の星への旅』など多数

みずこし・たけし 1938年、愛知県生まれ。58年、東京農業大学中退。99年、土門拳賞受賞。2009年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。主な写真集に『山の輪舞』『穂高 光と風』『森林列島』『熱帯雨林』『真昼の星への旅』など多数

 水越武さんには色への強いこだわりがある。それは長年使い続けてきた「コダクロームの色」への愛着ともいえる。

【写真】デジタルで大自然の色調を見事に表現した水越さんの作品はこちら

 その思い入れはコダクロームが消え去り、デジタル時代となったいまも連綿と続いている。

* * *
 本格的なデジタルカメラ時代の到来とともに、カラーポジフィルムの需要は減少した。水越さんが愛用してきたコダクロームの販売も2009年にとうとう終了してしまい、その長い歴史に幕を下ろしてしまった。

 しかし、フィルムはなくなったものの、水越さんのコダクロームの色への思い入れは消えなかった。

 現在、水越さんがカラーの撮影で使用しているのはデジタルカメラの富士フイルムX-Pro2である。

 このカメラには「フィルムシミュレーション」機能が搭載され、メーカーによれば「豊かな色再現性と階調表現をフィルムを取り替える感覚で設定できる」という。

 同社のカラーポジフィルムの色などを再現した「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」のほか、「CLASSIC CHROME」モードが搭載されている。

 CLASSIC CHROMEの特徴は「わずかに渋みを含んだ色彩とシリアスな階調」。これを水越さんは「いわゆるコダクロームの色」だと言う。つまり、色へのこだわりがこのカメラを使う理由のひとつになっているのだ。

 風景写真の撮影で非常に大切なのは「質感」を出すことだと水越さんは力説する。

「写真はやはり質感で見せていくということがとても大切です。特に自然写真は『色がきれいですね』とか、そんなことではなくて、質感を見せていくほうがはるかに重要なんです」

 モノクロは心象的なものを表現しやすいのに対して、カラーは社会に対してのメッセージを含むようなドキュメントに向いていると言う。

「森山大道さんは『写真とは記録である』と書いていますが、ぼくも写真のいちばん強い役割は記録であると思っています」

 それが風景写真が目指すものとつながってくる。

「風景を撮る、ということはどういうことであるか。こういう時代だからこそ、風景写真は時代から離れてしまってはいけない。そういうことから風景写真が生まれてこなくてはいけない。ただ、なんとなく美しいから、というのでシャッターを切るのではなく、一枚の写真の中で何をつかみたいか、ということをしっかりと整理して伝えることが大切です」


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