『コトラーのマーケティング4.0』の共著者のひとり、イワン・セティアワン氏。マークプラスのCOO(最高執行責任者)として、企業のマーケティング戦略の設計を支援している(撮影/写真部・小山幸佑)
『コトラーのマーケティング4.0』の共著者のひとり、イワン・セティアワン氏。マークプラスのCOO(最高執行責任者)として、企業のマーケティング戦略の設計を支援している(撮影/写真部・小山幸佑)

 マーケティングの神様、フィリップ・コトラー氏がデジタル時代におけるマーケティングの究極法則を著した『コトラーのマーケティング4.0』。本書の共著者で草稿を担当したイワン・セティアワン氏にマーケティング4.0の極意を聞いた。

*  *  *

――マーケティング3.0と4.0の最も大きな違いは何でしょうか。

 マーケティング1.0が「生産主導のマーケティング」、マーケティング2.0が「顧客中心のマーケティング」であったのに対し、マーケティング3.0は「人間中心のマーケティング」です。顧客の中の言葉として語られていないニーズを汲み取り形にしていくという、マーケティング2.0の進化形でした。

 マーケティング4.0ではビジネスを取り巻く環境自体がデジタル技術により大きく変化する中で、それに適合した新しい形のマーケティングを提案しています。1.0から3.0までの進化が漸進的なものだったのに対し、大きな飛躍になっているといえます。

――これまでマーケティング3.0の手法でやっていたものを、マーケティング4.0に換えて、大きな成功を収めたという例はありますか。

 残念ですが契約上、私たちのクライアントや実施したイベントの名前を明かすことはできないのです。主に自動車、銀行、石油・ガスなどの伝統的なセクターにおいて、新しい手法へのシフトを促しています。

『マーケティング4.0』のサブタイトルは「スマートフォン時代の究極法則」ですが、注意していただきたいのは、スマートフォン時代に入ったからと言って、全てのマーケティングがいきなり100%デジタルになるわけではないということです。

 たとえば自動車は高価なので、オンラインでは買いにくい面があります。その一方で自動車購入者の80%は実際に販売店に行く前に、オンラインでリサーチをしているというデータがあり、これを「Webルーミング」と呼んでいます。

 逆に日用品については、オフラインのショールームで商品を見つけ、その場では買わずにオンラインで価格の比較をした上で買うという購入スタイルが多くなります。いわゆる「ショールーミング」です。

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