ネット界隈では人気の田代まさし (c)朝日新聞社
ネット界隈では人気の田代まさし (c)朝日新聞社

 障害者の健康な生き方をテーマにしたNHK Eテレの番組「バリバラ」に田代まさし(62)が7月4日と11日に出演し、マスコミなどで大きく取り上げられた。報道によると、視聴者からクレームなどもあったものの、「反面教師」としての起用におおむね世間は納得した様子だ。

【画像】「バリバラ 教えて★マーシー先生」!?田代まさしの表情は…

 田代はこれまで盗撮や覚せい剤の所持などで4度も逮捕・起訴され、2回の懲役刑を経験している。番組では、実際に体験した依存の症状や薬物に手を出すことへの社会的な影響、刑務所やその後の薬物リハビリ施設について自身の経験をもとに、その恐怖を訴えていた。また、登場の冒頭からピエール瀧と田口淳之介をもじった「ピエール淳之介です」などと自己紹介。若干、スベり気味だったが、ギャグを放つ余裕も見せていた。

 このところ立て続けに芸能人が薬物で逮捕され世間を騒がせているが、薬物は大きな社会問題となっており、一般の人たちの間でも蔓延している。田代をテレビ番組に起用することで麻薬撲滅への啓蒙となるのならば、社会的意義も大きいはずだ。ある民放のバラエティ番組ディレクターからはこんな話も。

「TBSの深夜番組『クレイジージャーニー』など、世界の危険地帯などを取材する番組が人気となっています。そんな中でわかりやすく危ない世界の象徴として使われるのが薬物です。海外事例はコンプライアンス的にも問題なく放送できますからね。またネットフリックスなど配信サービスでも、コロンビアの麻薬シンジゲートをテーマにした物語『ナルコス』などが大人気シリーズとなった経緯もあります。視聴者の人気は高いのですが、地上波でやるとなると若年層への影響を考慮せざるを得ず、取り扱い方は限定的になります」

 今回の田代の起用も、あくまで“麻薬撲滅のため”という大義名分があるから実現したようだ。

「いま田代さんのマネジメントをしているのは、彼が入所している薬物依存リハビリ施設の『ダルク』です。いま彼は元タレントであり、ダルクのスタッフでもある。一方で覚せい剤依存症患者としてメディアに顔出しができる人は貴重な存在なので、制作側でも名前が上がることがあるのですが、その出演にはすべてダルク側の許可が必要なんです。条件として企画内容がしっかり麻薬撲滅への啓蒙であるかどうかが確認されます」(放送作家)

次のページ
関西ローカルを足がかりに?