今年も数学の天才高校生が世界に挑む。
2019年に行われる国際数学オリンピックの出場選手が決まった。出場者は、スポーツ大会と同じように「選手」と呼ばれている。
早川睦海さん(宮崎県立宮崎西高校3年)、平石雄大さん(海陽中等教育学校 5年)、兒玉太陽さん(海陽中等教育学校6年)、坂本平蔵さん(筑波大学附属高校3年)、宿田彩斗さん(開成高校2年)、渡辺直希さん(広島大学附属高校2年)の6人だ。
国際数学オリンピックとは、世界中から高校生以下の若者が集まって数学の難問を解く大会。1959年に始まった。出題分野は初等幾何、整数、方程式など。成績上位12分の1に金メダルが授与される。次の12分の2に銀メダル、その次の12分の3には銅メダルが授与される。
日本の参加は1990年から。2019年でちょうど30年目を迎える。この間、毎年6人、合計180人の選手が選ばれた(同一人物が複数年にわたって選手となったケースがあり、延べ人数)。
国際数学オリンピックの出場選手になるためには、日本数学オリンピック(予選、本選)の試験で上位成績をおさめなければならない。近年、4000人を超える応募があり、かなりの狭き門である。
出場選手の在籍学校別のランキングを調べてみた(延べ人数)。
学校の設置別で見ると私立113人、国立53人、公立14人となっている。公立以外はすべて中高一貫校であり、全体の9割を占めている。中学時代から高校や大学で学ぶレベルの数学の問題を解いたり、数学部といった部活動で先輩の高校生にまじって難問に挑戦したりというケースが多い。大好きな数学にじっくり取り組み、数学仲間と切磋琢磨するには、高校受験がない中高一貫校の6年間は適した環境なのかもしれない。
上位3校は筑駒、灘、開成で、4位以下を大きく引き離している。この30年間、3校から1人も選手が選ばれなかったことは一度もない。
少数派の公立高校は次のとおり。
札幌北(北海道)、八戸(青森)、長生(千葉)、新宿山吹、武蔵(以上、東京)、富山中部(富山)、清水東、浜松北(以上、静岡)、岡崎、明和(以上、愛知)、北摂三田(兵庫)、修猷館(福岡)、宮崎西(宮崎)の13校。それに公立中学校が1校加わる。
なお、中学生は延べ8人いた(つくば市立並木、灘、開成2、筑駒3、高田)。なかには中学2年生もいる。とんでもない数学天才がいたわけだ。
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