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指導力なければ生徒に殴られても仕方ない? なぜ教師が教師を殺すのか

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教育をめぐるさまざまな課題を発信し、問題の火付け役として貢献している内田良氏

教育をめぐるさまざまな課題を発信し、問題の火付け役として貢献している内田良氏

 巨大組み体操、体罰、セクハラ、ブラック部活動、都道府県別いじめ件数の格差……。「指導の一環」の名のもとに、さまざまなリスクが「消える化」する学校特有の「常識」。こうした「常識」を疑い、広く問題提起してきた気鋭の教育社会学者・内田良氏が著書『学校ハラスメント』(朝日新書)で、その「消える化」の仕組みについて考察している。

*  *  *
 2019年3月、「児童・生徒暴力被害者の会」の設立会見が神戸市内で開かれた。学校等で子どもから暴力を受けた教職員らによって構成される、当事者会である。教師から子どもへの暴力は、「体罰」として問題視されている一方で、子どもから教師への暴力は、ほとんど表面化していない。教師の暴力被害は「消える化」しているのだ。

■生徒が教師に蹴りを入れる

「さすがにクズい 蹴りよるやつも 周りも」――。

 2017年9月下旬のこと、福岡市内の私立高校で、授業中に1年の男子生徒が新任の男性教師を暴行する動画がSNS上で拡散され、「炎上」した。

 各種報道によると、日本史の授業中に男子生徒がタブレット端末で動画を見ていた。それを男性教師が何度か注意したものの、生徒は聞く耳を持たなかった。

 そこで、教師は生徒のタブレットを取り上げた。すると、生徒は教壇に立つ教師のところに近づき、教師の腰のあたりに背後から3回ほど蹴りを入れ、さらには教師の胸ぐらをつかんで脅したのであった。教師はその間、口頭でその生徒を厳しく注意しつつも、暴行を受けつづけていた。教室には、生徒たちの笑い声が飛び交っていた。

 以上の様子をクラスメイトの一人が動画で撮影し、それがLINEを通じて友人らで共有された。このうち別の高校の生徒が動画をTwitterにあげたところ、一気に情報が拡散されたのである。

 そして、暴行があった翌日には、男子生徒は傷害容疑により警察に逮捕された。だが、その経過はけっして単純なものではなかった。


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