送検のため原宿署を出る日下部和博容疑者1月2日午前8時30分 (c)朝日新聞社
送検のため原宿署を出る日下部和博容疑者1月2日午前8時30分 (c)朝日新聞社

 1月1日、東京・原宿の繁華街に自動車で突っ込み、8人に重軽傷のケガを負わせ、殺人未遂容疑で逮捕された日下部和博容疑者(21)。犯行を、さらに拡大させようとしていたことがわかった。

【画像】学生時代の日下部和博容疑者

 現場近くで逮捕された時、日下部容疑者は「体が油臭くて、ぬめっている感じだった」(捜査関係者)

 調べると、車には灯油や高圧洗浄機が搭載されていた。住まいのある大阪で、灯油や高圧洗浄機は購入していたとみられる。

「高圧洗浄機の先端には、粘着テープで着火装置を巻き付けていた。初詣で人出の多い場所で、灯油を高圧洗浄機で噴霧して、火を放とうとしたという趣旨の供述を繰り返している」(捜査関係者)

 まさに、オウム真理教の大量殺人を思わせるような計画だった。原宿で計画が成功すれば、年始に人出が多い上野や大阪でも再度、実行するつもりだったとも供述しているという。

「ニュースを見ていると、計画性があって、さすがアイツだなと思った」

 というのは、日下部容疑者の小学校、中学校の同級生だ。大阪で高校卒業後、千葉県に住み、新宿区高田馬場にある専門学校で外国語を学んでいた。だが、昨年から大阪に戻って、大学に通っていたそうだ。日下部容疑者を学校で教えたことがある関係者はこう話す。

「小学校時代は、クラスでもトップクラスの成績。下級生のころはほとんど満点でした。スポーツもできて、何でもできるような子でしたね。クラスメイトにも、勉強を教えるような優しい子だった。中学でも、そう成績が落ちることなかったはず。それに、勉強以外のこと、社会情勢だとか、政治にも詳しく、博学多才な感じ。ただ、中学生、高校生となり、だんだんオタク的な趣味になり、あまり外に出なくなったと聞いている」

 先の同級生はこう話す。

「アイツなら、灯油を噴射するとか考えつく。それくらい、頭の回転はいい。けど、アイツが弱いのは自分より詳しい人とかに言い負かされたりすると機嫌が悪くなる。中学生の時も、高校生に『それは違う』とか言われて、ブチ切れて、突然、掴みかかろうとした。小学校の時も、違う意見をいう人に『何言うねん』と急に蹴りを入れようとしたこともあった。死刑制度が許せないと供述していると報じられていますが、そういう理屈っぽいのがアイツらしい。今回の犯行も、ブチ切れてしまったんだろうが、まさかここまでやると思わなかった。信じられない」

(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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