今年は全国的に暖冬といわれていますが、朝晩の冷え込みは相当なもの。「手脚が冷えて眠れない」は多くの人にとって毎冬恒例のお悩みでしょう。身体が冷えていると快適な状態とはほど遠く、なんとか身体をあたためたいと思うのはごく自然な発想です。電気毛布や湯たんぽなど、そのためのツールも数多く存在します。

 しかし冷えを“万病のもと”とみなし、冷えを体から追い出すとあらゆる不調が改善するという説となると、あきらかに何かがズレています。“冷えとり健康法”の提唱者によると、冷えをとるだけでこんな効果が表れるそう。

・シミ、ほくろ、魚の目がなくなる
・不妊も解消
・白髪は黒くなる
・逆子にならない
・つわりも起こらない
・高齢出産でも心配はない
・お産は無痛で短時間
・更年期障害はあり得ない
・水虫やアトピー、ねんざも治る
・虫歯の痛みや、がん細胞も消える
・時差ボケや高山病にもならない
・人が自力で合成できないといわれているビタミン類その他も合成できるようになる

 どの効果もエビデンス皆無。そのうえ一体何をしたら冷えがとれ、このような素晴らしい(?)成果が期待できるのかというと、一にも二にも“靴下重ね履き”。独特のお作法に従って最低5枚は重ねて履くだけでいいというのです。

 がんと診断された人が医者にかからず、がん細胞が消えると信じて靴下の重ね履きをつづけていたらどうなるか? そんな、健康被害にもつながりかねない“トンデモ健康法”に警鐘を鳴らすのが、『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)です。特に女性の周りには、実は危険な健康法がいっぱい!

 著者の山田ノジル氏は、冷えを健康の敵とみなしあたためることに血道を上げる冷えとり実践者たちを“ヒエトリサマ”と名付けて観察。以下、同書よりその生態の一部を抜粋し、再構成してお届けします。

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 標準医療を必要以上に否定するような妄信的な冷えとり健康法が女子たちに受け入れられた背景のひとつには、メディアとアパレル業界の双方から提案された“ヒエトリファッション”があります。

 靴下重ね履きによって、ずっしりボリュームが出た足は、ごついブーツやつっかけ的なサンダルで対処。サイズの問題から男物の靴を履くヒエトリサマも少なくないようで、足元だけ見れば“彼ガール”といえなくもない雰囲気です(暖かなムートンブーツは、いわずもがな冷えとりニーズにジャストフィット)。

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冷えとりワードローブにおいてマストバイなアイテムとは?