■五輪代表との兼任ならばシステムも同じか? 

 もし、A代表と五輪世代のチームを兼任するのであれば、基本的なシステムはA代表でも変わらないだろう。過去の日本代表で言えば、02年の日韓W杯を率いたフィリップ・トルシエ監督が同様の兼任監督だったが、両チームで基本戦術が同じだったことが若手世代のスムーズな融合を可能にした。その成功例を破棄する必要は全くなく、広島時代のものと五輪代表世代で見せているエッセンスを合わせたものがA代表でも継続されるだろう。

 その中で、好みそうな選手のタイプというのはある。GKにはビルドアップへの参加を求めるタイプであり、広島時代には西川周作(現浦和レッズ)の能力を生かした。森保監督就任となれば、もちろん西川自身にもチャンスは大きいが、そうした能力も含めた総合的なポイントの高い選手が座席を勝ち取っていくだろう。また、DFにもボールをつなぐ技術は求められる。ロシアW杯のメンバーで言えば、吉田麻也や槙野智章といったタイプが強みを生かしそうであり、特にボランチを1枚降ろさない以上は、よりビルドアップ能力の高さが必要になる。

 中盤では、ダブルボランチがなるべく中央に定位することを求める傾向がある。多岐にわたる能力が求められるのはどのチームでも同じだが、運動量が多い反面で“行方不明”になるタイプの選手には厳しい指揮官と言えるのかもしれない。ドシッと中央に構えた上で攻守に関わるだけに、戦術的な理解度の高さが必要だろう。ロシアW杯でゲームメーク能力の高さを示した柴崎岳を中核に置くならば、よりアンカー的な色の強い選手にチャンスが巡ってくるのかもしれない。

 両ウイングバックは、サイドバックでありながら独力でのドリブル突破も求められるポジションになる。これに関しては、3バックのチームでプレーした経験がものをいうかもしれない。ペトロヴィッチ監督が浦和を率いた時に出色のプレーを見せた関根貴大が、今季の新天地ベルギーのシント・トロイデンで復活を印象付けるアピールできれば、いかにもピッタリとハマる人材だと言えそうだ。守備時には横のストッパーによる助けもあるだけに、守備も頑張れるサイドハーフというタイプにもチャンスはありそうだ。

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新しいチームの“顔”は…