「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題で、愛媛県が21日、2015年4月2日に首相官邸で行われた柳瀬唯夫・元首相秘書官と同県職員らの面会に関連する新たな記録文書を参院予算委員会に提出し、本誌はその全文を入手した。
すでに判明している愛媛県の”備忘録”とは別のもので、”首相案件”を明確に裏付けるかなり踏み込んだ内容となっている。
愛媛県は15年4月、官邸に行く前の3月に加計学園からの次のような報告を受けていたと記されていた。
<2/25 に理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医学部系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では国際水準の獣医学教育を目指すと説明。首相からは「そういう新しい獣医大学はいいね」とのコメントあり>
これは<獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打ち合わせ等について>というタイトルのメモだが、つまり、官邸での”謀議”の前、加計孝太郎理事長が安倍首相と直接、面会して獣医学部新設について話し合い「お墨付き」を得たと愛媛県と今治市に学園が説明していたのだ。
安倍首相はこれまで国会で一貫して「加計学園が国家戦略特区で獣医学部新設を求めていると知ったのは2017年1月」と説明。
その答弁の信ぴょう性が根底から崩れ、”虚偽答弁”の疑惑がまたも浮上した。
今回、愛媛県が提出したのは、職員が東京に出張した「復命書」や2015年4月2日に首相官邸で面会した柳瀬らの名刺のコピー、面会時の会話の記録メモなど計29枚からなる。
2015年2月に愛媛県と今治市で「意見交換」したというメモには興味深い記述があった。
<加計学園からは、イスラム国問題等で多忙を極める安倍首相と同学園理事長との面会が実現しない中で官邸への働きかけを進めるため、2月中旬に加藤官房副長官と面会を予定している>
<(加計学園が)新潟市の国家戦略特区の中で提案されている獣医学部の新設が政治主導で決まるかもしれないとの危機感を抱いていており、同学園理事長が安倍首相と面談する動きがある>