■何のための団体なのか

 ここで考えなければいけないのは、「そもそもPTAというものは、何のためにあるのか?」ということだろう。

 PTAは、会員家庭の子どもにサービスするために存在するのか? 違うはずだ。PTAが学校で活動しているのは、その学校に通う子どもみんなのために存在するからだろう。

 たとえばもし、会員数が17世帯の「おやじの会」が、卒業式のとき会員家庭の子どもにだけプレゼントを配ったら、どう思うだろうか? 「学校でやるな(家でやってくれ)」と思うのが、一般的な反応だろう。特定の団体が、学校内で、会員家庭限定サービスを行うのはおかしい。

 なのになぜ、それがPTAだと、会員限定サービスが認められてしまうのか?

 おそらくそれは単に、PTAが「ずっと全員加入だったから」だろう。

 多くの保護者の頭のなかには、「PTAは全家庭が入るもの」という昔からのイメージが刷り込まれている。そのため「PTAは会員サービスを行う団体」と誤認され、非会員家庭の子どもをサービス対象からはずすという間違った対応が是認されるのではないか。

■非会員の子にどう対応するか

 さて、ではPTAは、非会員家庭の子どもにどう対応するのがよいのだろうか。

 基本はやはり、「会員家庭か否かで、子どもを分け隔てしない」ということだ。非会員家庭の子どもにも、会員家庭の子どもへのそれと同様のサービスを提供する。それがまず、大前提だろう。

 運動会のテントにしろ、登校班にしろ、PTA主催行事にしろ、本人が希望すれば子どもは誰でも利用・参加できるようにし、記念品やコサージュも子ども全員にプレゼントする。それが本来の「当たり前の対応」のはずだ。

 もし「非会員家庭の子どももサービス対象に含めるのは"ズルい"」という声が保護者からあがるなら、またその声を無視できないのであれば、PTAはそのサービスから手を引くのが賢明だろう。そもそも子どもたちの学校生活が円滑に進むようにサポートするはずのPTAが、子どもを区別して壁を作ってしまうのは本末転倒だからだ。

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PTA予算はどういうものか