「アメリカの場合、1週間に30分以上、音声コンテンツを聞く人の割合は90%台、その一方で日本は30%台。日本は明らかに音声の途上国ですが、今後、日本もアメリカと同じ動きになる。誰しもが喋るのが嫌いであれば、そうはなりませんが、声は人間にとって切っても切り離せないコミュニケーションの手段の1つで、さらに情報を受け取る五感は目と耳しかない。そのうちの1つを声で活用しないわけにはいかない」

 早速、音声コンテンツを盛んに発信しているのが、「インフルエンサー」や「YouTuber」で、Voicyにも続々と参入している。

「彼らが言うには、Voicyを始めとした音声コンテンツは、発信が簡単で、ラジオのように揃えて出したり、音を調整したりしないでいい、書くよりも圧倒的に早いとのこと。文法も誤字脱字も気にせず、空気のまま届けることができる。もう1つは、エゴサーチをしてもポジティブな内容が多く楽しいという声がある。ポッドキャストとの違いは、放送局であること、そして受信者も発信者もとにかく手軽に楽しめるようにしたことです」

 「テレビ」や「ラジオ」といったこれまでのメディアにとって頭を抱えていたのが「広告」や「スポンサー」の問題だった。しかし、音声コンテンツには勝算があると緒方氏はいう。

「これまでの広告は、狙って買わせるものであったが、受け手は不要なものを届けられる体験に嫌悪感を覚え始めた。テレビCMで、『この商品は2980円!安い!』と宣伝しているものは買わず、草原の中で『ブランド名だけのマーク』というさりげなく出ているものに人は惹かれる。こうした『押し付けない広告』が圧倒的に支持される」

 TwitterなどSNSのフォロワー数で信頼性が保たれる「個人の時代」になった今、消費者は広告に敏感になり始めている。

 個人が本当に欲しくない商品をすすめる、個人のステマ(ステルスマーケティング)化にも消費者は気づいている。だから、わざわざ『私は本当に良いものしか出していません』と言う人が出始めたのだという。

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