生まれつき茶色い髪だった女子高生が、黒髪に染めるよう学校から指導され問題となったが、そもそも学校のルールはどうやって決められたのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞社会部・杉原里美さんの解説を紹介しよう。

■尊厳や人権を傷つけるルールも

 髪の毛の色は黒じゃなきゃダメ?

 生まれつき茶色い髪だった大阪府の女子高校生が、教員からの頭髪指導に対して起こした黒染め強要訴訟は、海外でも報道され、驚きの声が上がった。なぜ、日本では黒髪が重視されるのだろう。

 生徒の校内暴力などが激しかった1970~80年代、「髪の毛や服装の乱れは心の乱れ」とみなされて、細かい校則をつくる学校が多かった。そのころの「非行少年」のイメージが残っていると指摘する専門家もいる。この女子生徒が通っている府立高校でも、学校のルールを定めた「生徒心得」に従って、頭髪の指導をしたという。茶髪や金髪は、地域の人や就職の際の面接担当者に偏見を持たれやすいため、「指導は仕方ない」と考える先生も多い。

 多くの学校には、頭髪だけでなく、服装などにも細かく規定がある。制服の衣替えの時期、スカートの長さや靴下の色、異性との交際までさまざまなことが決められている。

 生徒手帳などに書かれていなくても、その学校独自の「伝統」や「きまり」になっていることもある。

 たとえば、下駄箱に入れる靴の左右を5ミリ単位のずれなくそろえなければならなかったり、給食や掃除のときは、おしゃべりを禁止していたりする学校もある。

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杉原里美
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