文部科学省の「全国学力・学習状況調査」によると、近年、学校のきまりを守る小中学生の割合は増えている。

 とはいえ、大阪府を訴えた女子高校生のケースのように、学校のルール自体が、生まれながらの人間としての尊厳や人権を傷つける場合もある。日本は1994年に、国連の「子どもの権利条約」を批准。97年には、京都府の高校生たちが国連で、制服導入に反対する意見を述べたこともある。男子の頭髪は丸刈りと決める中学校の校則も、人権侵害だと訴える裁判が相次いだ。その結果、80年代には全国の公立中学の3割にあった丸刈り指導は2013年、鹿児島県奄美市の中学校を最後になくなった。(解説/朝日新聞社会部・杉原里美)

【キーワード:黒染め強要訴訟】
生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう何度も指導されて精神的な苦痛を受けたとして、大阪府立高校3年の女子生徒が、昨年9月、府に約220万円の賠償を求める訴訟を大阪地方裁判所に起こした。黒染めが不十分だと授業に出るのを禁止された生徒は不登校に。髪が傷み、頭皮に痛みを感じるようにもなったという。

【こんなルールがある学校も】
・カップルは一緒に帰ってはいけない
・帰宅時、文房具店と図書館以外は立ち寄り禁止
・女子の下着は白のみ
・給食の準備時間と最後の10分は、声を発してはいけない
・スカートからひざが見えたらダメ
※「黒染め強要訴訟」を機に立ち上げられた「『ブラック校則をなくそう!』プロジェクト」の資料による

※月刊ジュニアエラ 2018年2月号より

ジュニアエラ 2018年 02 月号 [雑誌]

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杉原里美
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