撮影/岸本絢(写真部)
撮影/岸本絢(写真部)

 人生を豊かにしてくれる、大切な存在である友達。40代、50代と年齢を重ねるにつれて、より一層、頼れる存在になるという声も多い。Reライフマガジン「ゆとりら秋冬号」では「人生後半のパートナーは女友達」と題して50代前後からの女同士の友情のさまざまな形を特集。最近、改めて注目されている「大人の友達同居」についても聞いた。

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 コンビを組んでイラストレーターとして活躍する、ひよささんと、うにささん。40代後半の2人は現在、都内の一軒家を借りてルームシェアをしている。美大の同級生だった2人が同居を始めたのは、大学を卒業して9年めのことだった。

 「お互いに絵の道具や資料などが大量にあり、一緒に住めば同じ家賃でもっと広い部屋に住めるし、人も呼べるようになると思ったのがきっかけです」と言うにささん。

 学生時代から友人たちと合宿状態で課題を仕上げることが多く、誰かと暮らすことに抵抗はなかった。ルームシェアを決めた際、友人たちからは皆で集まれる場所ができたと喜ばれ、地方に住む双方の親も「一人暮らしよりは安心」とホッとしていたという。

 「家電やフライパンなど、一つあればいいものも多いので、荷物を大幅に減らせると期待していたのですが、引っ越してみたら包丁が2人合わせて14本あるなど、むしろ物が増えてしまって」と笑うひよささん。

 一緒に暮らすにあたって、まず明確にしたのはお金のことだった。新たに銀行口座を作り、毎月同額の家賃プラス余剰金を入金。そこから家賃、光熱費、通信費を引き落とす。冷蔵庫などの大型家電や家具は余剰金の積み立てから購入し、共有するものは基本的に折半。消耗品を買った場合は、各自レシートを持ち寄って月末に清算することに決めた。

 「毎日の食事は、食べたい時に食べたい人が作り、掃除やゴミ出しなどの家事も気づいたほうがします。当番制にしないのは、決まり事が増えると自分がつらいから。自分が楽に暮らすには、相手のことも縛ってはいけないと思うので」と、ひよささんは言う。

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