思わず見上げるほど美しいのに放棄されたシカゴ・ユニオン駅 <下川裕治のどこへと訊かれて> (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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思わず見上げるほど美しいのに放棄されたシカゴ・ユニオン駅 <下川裕治のどこへと訊かれて>

連載「どこへと訊かれて」

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下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)

この旧駅舎はメイン・ビルディングと呼ばれていた。一応

この旧駅舎はメイン・ビルディングと呼ばれていた。一応

 さまざまな思いを抱く人々が行き交う空港や駅。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界の空港や駅を通して見た国と人と時代。下川版「世界の空港・駅から」。第38回はアメリカのシカゴ・ユニオン駅から。

【シカゴ・ユニオン駅の写真はこちら】

*  *  *
世 界的に見れば、鉄道は衰退していく世界である。しかしこういう建物を目の当たりにすると、そこまで……と考え込んでしまう。

 シカゴ・ユニオン駅に行こうとしていた。道路に沿って、石づくりの建物が見えた。見あげるほど大きい。正面にユニオン駅と書かれている。

 アメリカには国鉄がない。すべてが私鉄。駅は利用する私鉄が資金を出し合って建てる。だからアメリカの駅はユニオン駅だらけなのだ。

 入ろうとすると、ドアの前にいた警備員に声をかけられた。

「列車に乗るの?」
「昼過ぎに発車するロサンゼルス行きに」
「だったら、あっちだよ」

 指さされたのは道路の反対側だった。どこにもありそうなビルが建っていた。いぶかしげに眺めると、警備員がこういった。

「あそこにドアが見えるだろ。そこから入って地下に降りれば駅だよ」

 たしかにそこが駅だった。その規模は地下鉄のターミナル駅と大差がない。

 だいぶ昔といっても、たかだか70年ほど前、シカゴ・ユニオン駅には1日に300本もの列車が乗り入れ、1日に10万人が利用していた。太平洋とヨーロッパでは、第2次大戦が激しさを増していたというのに、この駅は空前の賑わいをみせていたのだ。


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